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嘘の理由 ページ35

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Aは詩乃から荷物を受け取ると、申し訳なさそうに会社を後にした。
見送った詩乃と裏道に少しの沈黙が流れる。


詩「さてと。…うらみちお兄さん、何か知ってるんでしょうから話して貰いますよ?」

裏「…そうですね。皆に言わなきゃいけない事もあるので、中に行きませんか。」

2人でいつもの談話室に行くと、兎原、熊谷、池照が深刻そうな顔をしながら座っていた。

兎「あっ!裏道さん!Aちゃんは!?」

熊「Aは大丈夫なんですか。」

池「急に具合が悪くなったと聞いたんですが、何かあったんですか!?」

裏「…一度に喋るな。目が覚めた後は普段通りだったけど、Aさんの上司からの指示もあって今日と明日は大事をとって休んでもらう事になった。」

熊「上司って……。」

ギッと目線が鋭くなる熊谷。そんな事を知ってか知らずか裏道は熊谷を見ると静かに話し出した。

裏「熊谷、あの人はお前が思っているような人じゃないと思う。」

熊「でもあの2人の話が出た途端にAの調子がおかしくなったんですよ?」

裏「…順を追って話すから少し落ち着けって。ここで話す事でも無いし…」

兎「なら裏道さんの控え室で良いっすか?」

裏「…そうだな。そしたら仕事が終わった後に俺の控え室で話します。」


その後はそれぞれ淡々と仕事をこなして行った。

———
——

兎原side

昼前に熊谷からAちゃんが倒れたと聞いて、いてもたってもいられなかった。

俺は仕事が終わると、着ぐるみだけ部屋に置いて一目散に裏道さんの控え室に向かい、思い切りドアを開ける。

その部屋の中には熊谷の姿も見えた。

兎「裏道さんっ!!」

裏「……ノックしろって言ってるだろ。」

兎「それ所じゃ無いっスよね!?Aちゃんの事っ…」

話し切る前に裏道さんが突然俺の口を塞いだ。

裏「あんまり大事には出来ないから静かにしてろよ。
…いけてるお兄さんとうたのお姉さんが来るまでこれでも飲んで大人しくしてろ。」

そう言って手渡されたのは缶コーヒー。
普段はそんな気遣いなんてしない人なのに…裏道さんも落ち着かないのかな。

逆に熊谷は珍しくイラついてる様子だった。

◾️2024.4.7…一部加筆修正

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時

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