: ページ31
.
詩「Aちゃん大丈夫かしら…。」
熊「…………そうですね。」
すると反対側の廊下からカツカツと忙しないヒールの音が響いてきた。
彩色(さいしょく)「あら？こっちに居ないの？」
高見野(たかみの)「彩色さーん。別部署なんで、ウロウロしないで貰えませんかねぇ。」
ちょうど立ち止まっていた熊谷、詩乃と鉢合わせになる。
熊「……あんた達誰ですか。」
詩「さっき話してたAちゃんの上司と先輩の方よ。」
高「やぁ、多田野さん。先程はどーも。そちら、」
彩「やあだぁっ、初めましてぇ〜！私、彩色 賢姫(さいしょく けんき)と言いますう。失礼ですがお名前は？それと、…そちらの女性も。」
高見野を遮り、彩色がやけに甲高い声で熊谷に近寄った。が、詩乃に向ける視線は声色とは別の冷ややかな視線だった。
熊「…………………熊谷、です。」
詩「あ゛？…はははは、こちらクマオ君をやっている熊谷君です。私は多田野詩乃、うたのお姉さんをしています。」
高「初めまして、走井の上司で高見野と言います。走井がいつも世話になってます。」
詩「高見野さん、さっきまで待合室に居ましたよね？それなのに、どうしてここに？」
彩「走井があまりにも遅いので迎えに来たんですよぉ〜。皆さんにご迷惑かけてません？あの子なんて言うか…あんまり仕事が出来ないでしょう？」
その一言で、ピシッとこの場の空気が凍った音がした。
詩「ちょっと…貴女何言ってるの。」
彩「あら？そのままの事を言っただけですけど、何か？」
熊「…ふっ、ざ！」
高「彩色、やめなさい。」
一触即発の雰囲気に、高見野の低く重い声が辺りに響いた。
高「…ご気分を害しまして申し訳ありません。彩色には後ほど指導致しますので、この場はご容赦いただきたく存じます。」
高見野のが深々と頭を下げる。熊谷は納得いかない様子だったが、ここは引くべきと詩乃から目線を送られた。
詩「…分かりました。頭を上げて下さい。それと、走井さんですが体調不良のためこの後早退の予定です。ご連絡を
高「恐れ入ります。ではこちらにくる際はご連絡させて頂きます。…それと、裏道さんにも宜しくお伝え下さい。彩色、戻るぞ。」
彩「……はぁい。熊谷さん、またお話しましょうね。それでは失礼します。」
彩色が歩き始めると、高見野は熊谷と詩乃に一礼してその後ろに続いて行った。
2024.1.8…一部修正
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：水無月(みなづき) | 作成日時：2023年10月14日 12時
