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Aは優しく木角の頭を撫でる。
『いつもボロボロになるまでお疲れ様です。今日は
特にお疲れでは?』
木「は、いや、まぁ…」
『真面目なのは良い事ですが、無理し過ぎないで
下さいね?』
木角は今までされた事ないむず痒いような、嬉しいような複雑な気持ちでAを見ると、くすりと笑っていた。
木「………これはズリぃよ。」
『そうですか?』
木「そしたらもっと甘えさせてもらてません?」
にやりと笑うとAの腰に腕を回して、膝に頭をのせた時に、ガチャリとドアが開く音がした。
裏「………。」
『あっ、裏道さん。お疲れ様です。』
木「あっ、うらみちお兄〜さ〜ん。お疲れ様で〜す。」
裏「……………何やってんの。」
『え?えーと、アニメ見ながら企画書作ってました。』
入口で固まった裏道はギギッとAが座っているデスクに目線を向けると確かに書類が山積みになっていた。
ただ、その後ろでAの肩に手を添えてる上武と膝に擦り寄る木角が気になってしまう。
裏「どう見ても違うだろ。」
木「Aさんの手って柔らかくて小さくて気持ちいいですよねぇ。頭撫でて貰うなんて子供の頃以来ですよ〜。」
木角は裏道を無視してAの手を取りぎゅっと握る。
『大人になるとそう言う事して貰えなくなりますからねぇ。』
上「木角君の機嫌も良くなりましたし、僕は仕事に戻りますね。」
裏道のただならぬ雰囲気を察したのか、上武はさっと自分の仕事に戻った。
『そういえば、何か用ですか?』
裏「……出来田さんがAさんを呼んで来てって言われたから。」
『あー…わっかりましたぁ。木角さん、上武さん、すみませんが帰りますね。』
上「いえ、いつでもお待ちしてます。また語り合いましょう。」
上武は普段通りの返事だが、木角が側から離れずべったりとくっついている。
木「行っちゃうんですかぁ〜?」
『ディレクターに呼ばれたら行かない訳にはいきませんので。また遊びにきますよ。』
自然と木角の腕を自分の腰から外し、ぽんっと一回頭を撫でると書類をまとめ始めた。
持って来たトートバッグに大量の書類とノートパソコンをしまうと肩にかけて、裏道の方へ歩いていく。
『お待たせしました。』
裏「…………別に。」
『それでは失礼します。』
小さくお辞儀をすると、裏道と一緒に出て行った。
木「…あれで自覚なしとかどうかしてる。」
上「まぁ凄い殺気だったね。」
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時