そろそろ仕事して下さい。 ページ18
?「わああああっ!うっ裏道君っ!かくまってくれ!!」
裏「…いきなりなんですか。」
1つ目の収録が終わり、表情筋を休めていた裏道の控え室が突然騒がしくなった。
ノックも無しに駆け込んできたのは、演出家のアモンが裏道にすがりついてきた。
ア「そっ、そっ、空から悪魔が…」
裏「アモンさん起きてます?ネタが浮かばなくて逃避でも始めたんですか?」
ガタガタと震えるアモンは首が取れそうな勢いでぶんぶんと振る。
ア「そっそそそんな訳無いだろう!これが夢ならどれほど良いかっ…」
アモンが全て話し切る前に、控え室のドアが鳴った。
ア「裏道君っ!駄目だ!開けちゃ駄目だ!」
裏「何言ってるんですか…どうぞー。」
ガチャリとドアを開けた先にはAが笑顔で立っていた。
『お疲れ様です、裏道さん。』
裏「え?A…さん?」
どんな人が入ってくるかと思えば、いつも顔をあわせるAだった。ただし、その笑顔はどこか怖さを感じてしまう。
『お休みの所すみません、こちらに無能が入ってきましたよね。』
Aの視線を辿るといつの間にか裏道の背中に隠れるように縮こまるアモンがいた。
『…アモンさん。いい加減脚本書いてください。』
ア「だっ、だって!いきなり言われてもアイデアなんか降りてこないだろう!?」
『それをやるのが貴方の仕事なんですよ。』
裏「…仕事ってまさか…。」
『ご想像の通り、出来田さんが考えた"ウサオくんとクマオくんの無茶無理大冒険!"の脚本を担当になったのがアモンさんです。話が出来ないとセットも作って貰えないので…』
裏「…なるほど。死活問題ですよね。」
冷ややかな目でアモンを見るA。普段は穏やかな姿が多いので裏道も驚きを隠せない。
裏(…そういえば衣装ケース破壊できる人だったよなぁ。)
『仕方ありません…この手は使いたくなかったんですが…』
そう言うと肩にかけていたトートバッグの中からずるりと何かを取り出した。
ア「!そっ…それはっ!!!」
裏「!?」
『そうです!アモンさんが何より大切にしているこの"シソの神"の衣装ですよ!これ以上脚本を書かなければこの場でズタズタに切り裂きます。』
Aはどこからかハサミを手に取り、服にあてる。
2023.11.7 一部加筆(シソの神に直しました)
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年10月14日 12時