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ーーー数十分後

そこにはぐでんぐでんに酔った出来田と少ししんどそうな顔をしたAがいた。出来田を思いっきり持ち上げてどんどん飲ませていったのだ。

(潰すにはもう少し必要かな…睡眠不足もあってか酔いが回るの早い…)

出「Aちゃん…意外と強いねぇ……」

『ふふふっ、出来田さんこそお強いですね。流石です。』

いつもより潤んだ目で笑うA。
アルコールがだいぶ回っているせいか、頬や唇が赤みを増している。ましてや浴衣を着ているせいもあり首元があらわになっているのだから相手によってはかなりの毒である。

その姿を見た出来田は隠しきれない色気に理性的な判断が鈍る。

出「………Aチャンって意外と色気あるよネェ。」

出来田はそう言いながらAの手を握る。

『…っ何を仰るんですか。冗談はやめてください。』

出「ほら、そういう所が誘っているんじゃなぁ〜い?」

『…あの、本当にやめて下さ…』

出来田がさらに肩へと手を伸ばそうとした時、出来田の肩か思い切り引っ張られた。何事かと振り返ると目が据わった状態の熊谷がすぐ後ろに屈んでいた。

出「…出来田さん。酒は飲まれちゃ駄目じゃ無いっすか。」

口元をギギッと歪ませて笑う熊谷はAが見ても少し怖いくらいだ。

出「ヒッ…く、くくく熊谷くぅん!そそ、そうだよねぇ!!じゃ!!」

立ち去ろうとする出来田の腕をガッと掴む。

熊「折角ですから俺とも飲みましょう。ほら行きますよ。」

ずるずると連れ去られる出来田に、何が起きたのかいまいち分かっていないA。そこに息を切らした池照が駆け寄ってきた。

池「Aさん!遅くなってすみません!」

『あ、池照くん。…大丈夫?』

池「俺は平気です。それよりAさんの方が大変じゃないですか!」

『私も大丈夫だよ。ちょっと酔うの早かっただけ…』

立とうとするとぐらりと目が回る。

池「Aさん!無理しないで下さい!ほら、俺につかまって下さい。少し外の空気を吸いましょう?」

『…ん、ごめんね。ありがとう。』

池照の腕に捕まり、ゆっくりとした足取りで宴会場から廊下へ出る。喧騒が遠のき少しひんやりとした空気が流れていた。少し歩くと長椅子が置いてあったので、そこで休憩する事にした。

池「すみません…俺がちゃんと断れればよかったのに。」

『そんな事無いよ。』

大きな身体を小さく縮めてしょんぼりする池照。なんだか可愛らしく見えてきてつい頭を撫でていた。

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時

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