天の声のお姉さんは今日も走る2【うらみちお兄さん】 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:46 hit、合計:5,021 hit

: ページ6

熊「ちょっと俺席外すわ。何かあれば姉さんに…」

横を見るといつの間にか詩乃がステージの上に移動していた。

『う、詩乃さん！？』

熊「…ありゃもう出来上がってんな。」

池「歌ってやる〜と意気込んでステージに向かって行きましたよ。」

熊「そうか…なら池照、少しの間Aの事頼むな。すぐ戻る。」

池「はい、大丈夫ですよ。」

『心配しすぎだよー！まだそんなにお酒も入ってないから大丈夫だって！』

熊「これくらい普通だろ。あ、裏道さんもお願いします。コイツ見張っててください。」

裏『……良いけど。』

熊谷の過保護が何となく気に入らず裏道はAと熊谷の方を見る事無く、返事のみ返した。

熊「…じゃ、行ってくる。」

裏道の態度に一瞬黙る熊谷だが表情は変えずに宴会場を出て行った。
池照といってらっしゃいと送り出すと、Aはいつもと違う裏道が気になっていた。

(何だろう…裏道さんちょっとピリピリしてる感じがする。)

『う…裏道さん。詩乃さんって演歌も上手なんですね！』

裏「……そうだな。」

一言だけ返すと、裏道のお膳にはかなりの数の徳利が乗っていた。にもかかわらず酔っている様子は無い。

『他の歌も上手なんでしょうかね。裏道さん知ってます？』

裏「さぁ。知らない。」

『そ、そうなんですね、…あ！兎原さんと熊谷さんとはいつから仲が良いんです…』

裏「面倒臭いな。熊谷にでも聞けよ。」

『え…』

裏道がはっと気づくとAは眉を下げながらで笑っていた。

「そ、そうですよね！ごめんなさい。」

裏「…………酒、貰ってくる。」

通り過ぎる時にふと目に入ったのは悲しそうなAの顔だった。

裏(1人で勝手にイライラして八つ当たりとかガキにも程があるだろ。…駄目だ。1人になりたい。)

そのまま裏道は宴会場を後にした。

『…私、なにかしちゃったかな。』

池「大丈夫ですよ。Aさんのせいじゃ無いです。」

『池照くん…そう、かな…』

しょんぼりとするAに優しく笑いかける池照。普段はぼんやりとしているが、意外な所で勘が鋭い。

池「多分、うらみちお兄さんの勘違いだと思いますから。」

『勘違い？何の…』

出「イェーイ！！池照君飲んでる！？」