天の声のお姉さんは今日も走る2【うらみちお兄さん】 (ページ29)

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あなたの事が知りたい。ページ29

『私の事はともかく、はい、これ！』

陶器のぐい呑みをそれぞれに渡すA。
兎原にはピンクのラインが入った色合いの物を。熊谷にはマスタードイエローの深い色味の物を。裏道には空色のような色合いのを渡した。

『皆さんをイメージしたらウサオくんにクマオくん、うらみちお兄さんのイメージになっちゃいました…。』

兎「ま、俺ららしくて良いんじゃないの？」

熊「そうだな。ありがとう。」

裏「…ありがとう、大事にするよ。」

裏道が普段は見ないような優しい笑顔に一同は驚き、視線を向けられたAはドキリとしてしまい狼狽えてしまった。

『い、いえ、…気に入っていただけて何よりです…』

裏「？」

照れているAの反応に不思議そうな裏道。素直な裏道もかなりレアなのだが、自分の顔の良さを分かっていないとつくづく周りは思う。

兎「裏道さん、あれ狙ってやってないよな。」

熊「だろうな。そういう所はある意味天然だよな。」

熊谷は赤くなって顔を覆ってしまったAの頭をワシャワシャ撫でながら落ち着けと言い聞かせる。

裏「Aさんはどんな色にしたの？」

『あ、私は乳白色にフチが金色になってるのを買いました！ちょっと丸い形が可愛いくて一目惚れです！』

そう言って取り出すとAによく似合ってる色だった。

兎「おー、良いんじゃない？」

裏「へぇ、そういうのもあるんだな。」

熊「じゃあお前も、ほら。」

そう言って熊谷はAのぐい呑みに日本酒を注ぐ。

『ありがとう！…ん〜甘い香りの中にもしっかりとした深い味が美味しい…』

こくこくと美味しそうに飲むA。
身体がほんの少し温まり、ふわふわとした酔いが来ると今まで聞けなかった事を聞いてみたくなった。

『あの、前から聞きたかったんですけど、お三方って今の職場で知り合ったんですか？』

裏道、熊谷、兎原がぱちくりと瞬きをする。

兎「ありゃ、既に知ってるもんかと思ってたわ。」

熊「そういや話した事無かったよな。」

兎「俺と熊谷、裏道さんは同じ体育大学の先輩後輩なんよ。」

『…えっ！？そうなんですか！？』

熊「あぁ。裏道さんは体操、こいつが陸上、俺は弓道やってた。」

兎「んで、寮で生活してたんだけど最初は俺と熊谷、も1人猫田って奴がいたんだけどそいつが急に出ていって、そこに裏道さんが入ってきたんだよなぁ〜。懐かしいわ。」

『そうだったんですね。…今は仕事メインですよね？』

Aは訝しげに3人を見比べた。