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『意外と大きいマンションだ…』
スーパーでおかずになる食材と近くの酒屋でお酒を何本か買って来たA。
熊谷からMINEに送られて来た裏道の部屋番号を確認すると、エレベーターに乗り込む。
5階で降りると、とうとう部屋の前に着いた。
兎原と熊谷が最初に行っているとはいえ、裏道がどんな反応をするのか緊張してしまう。
『…迷惑そうならさくっと帰ろう。』
意を決してインターホンを鳴らす。
部屋の中では餃子の餡が出来上がり、これから包む作業に入ろうとした時にまたインターホンが鳴った。
裏「今度は誰だよ…。」
手を洗うと玄関ホールへ向かう裏道。兎原の事もあり、めんどくさそうにドアを開いた。
兎「しまった!Aちゃんも呼んでるって俺言ってない!!」
餃子を作りながら兎原は小声で叫ぶ。それを無言のままじとっとした目で見る熊谷。
裏「はーい、どなたですk…」
『えっと、こんばんは。裏道さん。』
裏「…………。」
想像もしていなかった人物が目の前に立っていて、裏道はドアを開けたまま言葉を失った。その姿にAはピンときた。
(あっ、これ多分私が来る事話してないな。)
裏「…………何でここに居んの。」
『裏道さんの自宅で餃子パーティーすると誘われたので来てみたんですけど…』
裏「聞いてない。」
『…みたいですね。混乱させてしまってごめんなさい。あ、これ良ければ皆さんで飲んで下さいね。それじゃ、』
そう言って持って来たお土産を手渡して帰ろうとすると、その手を掴まれた。
『…裏道さん?』
裏「…どうせ兎原辺りが呼びつけたんだろ。ここまで来て帰すのは申し訳無いし、上がって行けば。」
言い方はぶっきらぼうだが、そこまで嫌がっては無いようだ。なので裏道の言葉に甘えさせてもらう事にした。
『じゃあ、遠慮なく。お邪魔します。』
ふわりと笑うと、Aを掴んでいた手が優しく頭を撫でる。玄関に入ろうとすると、裏道は荷物の量にギョッとする。
裏「買い物帰りだったのか?つーか、その酒と買い物の量どうしたんだよ。重いだろ?」
Aが持っている袋には一升瓶が3本とハイボールの缶がいくつか入っていた。それとは別にエコバッグには食材が結構な量を占めていた。
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▪️2023.10.02.加筆修正しました。
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時