餃子パーティーに誘われて。 ページ21
怒涛の10連勤が終わり、久し振りの二連休だ。
ADの仕事と大量に溜まったナレーションの仕事を終わらせて、くたくたになりながら自宅に戻った。
睡魔に襲われながら必死にシャワーを浴びた後はすぐに深い眠りに落ちてしまい、目が覚めた時には翌日のお昼を過ぎていた。
『あー…やっちゃった。』
まだ疲れの残る身体を起こし、荷物が散乱している部屋を片付けると近くのスーパーに買い出しに出た。
『何品か作り置きしとこうかな…?』
何を作ろうか品物を吟味していると、バッグの中にあるスマホが鳴り出した。画面を見ると兎原の名前が表示されている。
『はい、走井です。』
兎〈もしもしAちゃん?お疲れ〜!〉
『お疲れ様ー。どうしたの?』
兎〈あのさ〜、今日これから暇?〉
『まぁ…暇と言えば暇だけど?』
兎〈これから裏道さんの家で餃子パーティーするんだけどAちゃんも来ない?〉
『………え、今から?』
兎原から突然の誘いにワンテンポズレた返事をしてしまった。
兎〈そうそう!せっかくの二連休だろ?だから皆で裏道さん家に集まろうと思ってさー。〉
『…もしかして、その事裏道さんにまだ許可貰ってないでしょ。』
兎〈ゔっ…!……アハハ、バレちゃった?でも、ほら!なんだかんだで裏道さん入れてくれるから大丈夫だっ、あだっ!〉
『兎原さん!?』
〈…ッテェ。…えー!…わーったよ、ほら、〉
電話口で別の誰かと話す兎原。少しすると熊谷の声が聞こえて来た。
熊〈…もしもし。〉
『熊谷さん、お疲れ様ー!兎原さんと一緒だったの?』
熊〈一緒じゃない。出かけた先で兎原に会っただけだ。〉
『それは随分と運命的だねぇ。』
熊〈やめろ、気持ち悪い。…それより裏道さんの家、知ってるか。〉
『うん。たまたま私の家の近くだったからマンションは見た事あるけど、詳しい場所は分からないかな。』
熊〈なら、MINEに地図と部屋番号送っておくからそれ見て来い。〉
『…拒否権は無さそうだね。私が行っても迷惑じゃないかな?』
熊〈Aなら大丈夫だろ。知らんけど。〉
兎〈大丈夫大丈夫ー!来るの待ってるからなー!そんじゃ!!〉
『ちょっ…!!!』
プツッ…ツーッ…ツーッ…
電話口で少し遠い距離から、兎原から根拠のない大丈夫を貰うとそのまま切れてしまった。
『……仕方ない。お土産と食材でも持って行きますか。』
半ば強制的に決まった事だが3人に会えると思うとAの顔は嬉しそうに緩んでいた。
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時