裏の独白 2 ページ20
『…私の憶測でしかないけど、繊細な人だと思うな。
それに、優しいよ?真面目で、不器用なのかな。心配だってしてくれる。悪い人じゃ無いと思ってるよ。』
「それ本気で言ってんのか?」
本当だよ。馬鹿なのか?
さっき俺に言われた事忘れてるのかよ。
そんなに穏やかな声で言うなよ。
…悪態をついた自分が余計嫌になるし、胸が詰まるようなよく分からない気持ちが込み上げて来る。
Aさんが席を外すと隠れていた俺に気付いていた熊谷から色々突っ込まれる。
まさかお前とAさんの近さに苛ついたなんて言えない。
「……Aにはちゃんと説明してやってください。」
そう言って熊谷は俺を置いてどこかに行ってしまった。謝ろうとは思っていたがいざとなると言葉が出てこない。
『裏道さん、私、迷惑かけて無いんですか?』
『裏道さんに嫌な思いさせて無いですか?』
やっとの事で謝ると、想像とは違う答えが返ってきた。
そんなわけ無いだろ?何をそんなに怯えているんだ?
繋いだままの手を優しく握り返され笑顔で振り向かれると、もう意地を張っている自分が馬鹿みたいに思えて来る。
俺を分かった気になってるのが気に食わないし、俺だって男なんだぞ。その意味、理解してるのか?
そう思ったら自分の方に手を引いていた。
肩に頭を乗せるとシャンプーの香りだろうか。落ち着く甘い香りがした。
ほら、そうやって色んな顔を出せば良いんだよ。誰もお前を責めたりしないから。
…このまま、抱きしめたらどんな顔をするんだろうか。
それはまたの楽しみに取っておこう。
なんて、思う俺はおかしいのかもしれない。
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▪️2023.9.14加筆修正しました。
◾️2023.11.22タイトル修正しました。
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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時