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裏「…うるさい、見すぎ。」

じろりとAを見ると、掴んでいた手をぐっと自分の方に引っ張った。

『わっ!?』

ガクンと足元が崩れてしまい、座っている裏道に寄りかかってしまった状態だ。驚いて顔を上げるとすぐ目の前に裏道の顔がありドキリと胸が鳴った。

『っ、らみちさ、』

すぐさま離れようとするが、ガッチリ腕を掴まれて身動きが取れない。逸らされていた瞳はいつの間にかAをしっかり映していた。

裏「何で逃げんの?」

『だって、ちっ近いじゃないですか!』

裏「普段から距離感近いお前に言われたく無いなぁ。てか、顔、赤いんだけど?」

その口元は弧を描き、意地悪な笑みを浮かべる。その姿は以前見た「大人の男の人」の顔で免疫が少ないAの顔はどんどん赤くなってしまう。

裏「っふ、かーわい。」

『かっ可愛くないです!誰だって裏道さんからこんな事されたら赤くなりますよっ!…って言うか裏道さんキャラ変わってませんか!?』

裏「…別にこれも俺だけど。つーかそれこそ誰のせいだと思ってんだよ。」

大きく息をつくと、Aをもう少し自分の側に寄せるとその華奢な肩に頭を乗せる。

『?…う、うらみちさん?』

裏「…会ってすぐの人に自分の事全部見せる奴なんて居ないだろ。それに俺は色々捻くれてるし、疲れるとすぐに腐るし、小さい事ですぐに苛つくし。」

Aの肩に頭を乗せたまま、ぽつりぽつりと話す。

裏「そんな俺でもお空のお姉さんは受け入れてくれるから、遠慮しなくなっただけ。」

こんなにぎこちない甘え方をする人なのかと思うと、放って置けない気持ちになってしまう。さらさらと柔らかい髪が頬を掠めると、少しくすぐったいなと思いながらつい、空いている手で頭を撫でてしまった。

最初はぴくりと反応があったが、特に離れる訳でも無く素直に撫でられたままだ。

『…嫌いになりませんよ。大丈夫です。』

裏「……後悔しても知らないからな。」

『しませんよ。』

そう言ってくすくすと笑うAの肩に少しすり寄ると顔を上げた。

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作者名:水無月(みなづき) | 作成日時:2023年9月4日 13時

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