この気持ちに名前をつけるなら【月刊少女野崎くん】 (ページ10)

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8話君の顔と君の声2 ページ10

「おい、邪魔するぞ。鹿島いるかー？」

少し低めの通る声が、2ーGに響き渡った。

「あっ、掘ちゃんせんぱーい！！」
「えっっ！？」

嬉しそうにぶんぶんと大きく手を振る鹿島とは反対に
Aはびくっと肩を震わせ、ゆっくり声の方向に
向いた。
そこには昨日介抱してくれた堀の姿があった。

「おー珍しく教室に居たな。今日は通し稽古するって話し……ん？あれ、お前…」

鹿島の隣に普段見ない顔がいるなと思ったが昨日の事が走馬灯の様に頭を駆け巡った。

「ぁぁああ！昨日の！！」
「はっ！！はい！！昨日はお世話に…」

堀はAが話終わる前につかつかと近づき肩を掴んだ。

「昨日は本っ当に悪かった！今日学校に来て大丈夫
　なのか？顔に傷とか残って無いか？！」
「えっ、はい！元気です！傷も無いです！」

本当はまだ少し腫れているのだが、そこまで気にする程では無いとAは思っていた。だが、堀は訝しげにAの顔を見ると額が腫れているのを見逃さなかった。
肩に乗せていた手を額に伸ばす。

「ウソつけ。こんなに腫れて赤くなってんじゃねぇか。
　あーあー…痛くないのか？」
「え"っ！？傷残ってたの？」
堀は更に顔を近づけて傷を見る。鹿島も腫れてると聞いてAの顔を覗き込んだ。
距離が近い堀と、元々距離感が近い鹿島に囲まれたAはドギマギしながらも平常心を装い大丈夫だと伝える。

「そうかぁ…？」
「女の子は顔が大事なんだから無理しちゃダメだよ？」
「先輩！鹿島！近い近い！！」
「「は？近いって何が。」」

ようやく顔の赤みがおさまりつつあったAだが、2人のおかげで再度赤面し固まっていた。そんな姿が居た堪れず御子柴は助け舟を出した。

「顔、顔！先輩、心配なのは分かりますけど近いですって！つーか鹿島！さっきお前に言ったばっかだろ！？」

「うーん、まぁ慣れてなければしょうがないかぁ。
　Aさん、何かあれば言ってね？」
「う、うん。ありがとう、鹿島くん。」
「ほら、部長も離れないと。」
「まぁ…そうなんだけどよ…」

鹿島に離れろと促されるが、一向にAの顔を見つめたままだ。