【刀剣乱舞】時間遡行軍に愛された少女 ＊完結＊

＊ ページ39

な「…………あのな、A」



でも私は、いち兄が話し始める前に、その口を手で抑えた




『いち兄。私、全部知ってるよ。

　前の審神者さんのことも、いち兄と薬研兄たちのこと…今までのこと、全部』




私がそういうと、いち兄と薬研兄は目を見開いた





な「………全て…か？」




『うん、全て。』




するといち兄は「そうか…」と目を伏せ、黙った








「「「………………」」」






しーん…と沈黙が流れたとき、薬研兄が口を開いた





薬「…あの、な…A、俺達がここに入った理由は


　Aが折れたという過去を変えるためなんだ…A」




『……………うん』





私が頷くと、薬研兄はギュッと唇をかんで俯いた








『知ってるよ。薬研兄たちがどんな気持ちで私を助けてくれたのか。


　だから………









　ありがとう』








そう言うといち兄が私をギュッと抱きしめた









な「…すまない、本当にすまなかったA…っ！！！」




『…い、いち兄…』



な「助けられなかった、見て見ぬふりをしてしまった…っ


　 本当にすまなかった…っ！！！」



『いち兄、落ち着いて、大丈夫だよ…それに』




私は少しいち兄から離れると、いち兄の目を見てゆっくり言った









『いち兄はここに来てからも私を助けてくれたよ。


　ずっとそばにいてくれたよ。だから…


　…ありがとう、いち兄』





な「……だが…っ」




『じゃあさ、いち兄、私からお願い』







私がそう言うといち兄と薬研兄は目を丸くして顔を上げた









私は息をすぅっと吸うと、胸を張って言った






『私、今まで頑張ったよ！

　出陣もしっかり行ったし、内番もちゃんとやったよ！だから…







　頭、なでてくれる…？』





「「…………」」







しーーーーーん……






…ち、ちょっと無理やり過ぎたかな…







薬「……ははっ」




私の答えに、拍子抜けしたのか、薬研兄が声を立てて笑った





薬「相変わらず…だなA…」




な「……そんなものでいいのかい…？」





二人の声に私は二カッと笑った




『うん！だって約束でしょ！


　“頑張ったら頭なでてあげる”って！』





な「…………あぁ…っ」





いち兄はそう言うと、私をもう一度ギュッと抱きしめてから、





「よくできました…っ」って頭をなでてくれた







一粒の涙を頬に流して…

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