【刀剣乱舞】キスなんてダメ！！

＊ ページ47

たくさんある本棚。

掃除していないのか、使っていないのかわからないけど埃がすごくかぶっているものばかりだった。


でも一つだけ。


埃がかぶってなくて書類も他と比べたらきちんと整理してある本棚があった。


…なんだろう


古くなったからなのか、少しくすんでいる水色の本をその本棚からとってみる。


私がそれを手に取ると三日月の身体が少しふるえ、動揺したのがわかった。

三日月は私と目が合うと、ふるふる と首を横に振った。


私はそれを見て少しほほ笑むと、ゆっくりその本のページをめくった。



『…これ』


そこに書かれていたのは



“○×○×年 審神者就任 十六歳”



「…前任の記録だ」



三日月が悲しそうに眼を伏せ、長いまつげが影を落とした。


…これが、前任の記録。

…私はこれを読まなくてはいけない。



私は意を決して三日月を振り向いて にこり、とほほ笑んだ。


『…三日月、ありがとう。私しばらくの間、ここにいる』


私がそういうと三日月は 駄目だ、と震える声で言った。

ぎゅっと拳を握りしめ、三日月が少しずつ言葉を繋ぐ。


「見たくない」


黒く汚れた悲しい記憶が三日月の頭の中を疼く。

痛みに耐えるように三日月はキュッと唇を横に結ぶ。



『私だけでいい。この記憶を掘り返すのは私だけ。
　…大丈夫だから』



ごめんね、三日月。




三日月は悲しそうに私を見てから、ゆっくり扉を閉めた。

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