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拾 /第三十三話 お別れが近づいている世界 ページ36

雪の世界についた。拝殿の外では雪がちらほら舞っていた。


「なら、そろそろお別れだね。」


ああ。もうそんな時間か。
寂しいな。これが夢じゃなければいいのに。


「なら一応言うよ。この世界のことは数日で忘れちゃう。夢の出来事になるから。」


そうなんだ。
こんなに楽しかったことを、優しくしてもらったことを忘れてしまうなんて…。


ずっと覚えていたかったな。


「もう俺たちと会うことはないだろうけど坂田と同じ、”友達”ね?」


「うん。」


その友達という言葉が頭の中で響いていた。
我慢できなくなって泣いてしまった。


『ありが……とう……。』


「なら、俺はこれでね?」


そらるさんはそう言って微笑んだ。
ああ。もうお別れか…。


『ありがとうございました…。』


「はい。手、だして?」


そう言われて手を出すと青い装飾の入った髪留めが乗っていた。
綺麗だった。キラキラ輝いていて宝石みたい……。


「なら俺からはそれね?」


そう言いながら髪留めごと私の手をそらるさんの大きい手で包み込んだ。


『ありがとうございます…絶対大事にします。』


「うん。なら元気でね?」


そう言って微笑んだ。
私が頷きながら笑うと、そらるさんはすっと消えていった。


ああ。もうそらるさんとも会えないのか。
そう思うとすごく悲しい気持ちになった。


まふはそんな私の気持ちに気づいていないかのように私を呼んだ。


「なら、こっちにおいで?」


まふはそう言うと私の手を引きながら外に出て、鳥居の前に来た。
大きな鳥居の横に小さな、あの死魔さんがいたところにあったぐらいの大きさの鳥居があった。


「この小さな鳥居をくぐると元の世界に帰れるんだ。きっと死魔さんがいた部屋にも似たような大きさの鳥居があったんじゃない?」


そう聞かれて頷いた。
最初にあの部屋に入った時に志麻さんはその鳥居の前に座っていた。


「あの死魔さんがいたところにある鳥居をくぐると完全に死ぬんだ。」


なんとなくそんな気はしていた。
だからあんなにまふは念押ししてたのか…。


ちゃんと戻ってくるんだよ?


って。


まふは続きを話し始めた。


「そして、ここにある鳥居をくぐると”生きている世界”に戻れる。」

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華奈(プロフ) - みぃさん» 遅くなりすみません、読んでくださってありがとうございます、感動していただけて嬉しいです! (2019年9月28日 14時) (レス) id: e9673d1453 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - これを見た時、心が動かされました!!私も色々あってとても辛い時に見まして、勝手に涙が溢れて来ました。この物語を作って下さってありがとうございました(^^) (2019年8月25日 11時) (レス) id: 1278da2542 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 訳)I was saved in your smil 私はあなたの笑顔に救われました Happy Birthday Mr' mahumahu 誕生日おめでとう まふまふ! I'm really happy that you here ここに居ることを本当に嬉しく思います 勝手に訳してすみません (2019年8月25日 11時) (レス) id: 1278da2542 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 心愛さん» それは良かったです!ありがとうございます! (2018年11月30日 23時) (レス) id: c9d3152c02 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです! (2018年11月30日 23時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華奈 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月12日 23時

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