染/第二十八話 最後の世界―――死ぬ直前― ページ31
時は進んだ。
'その子'と約束したあの公園に足を運んでいた。
相変わらず何も変わらない毎日を過ごしていた。高校生になった今も虐められることには変わりはなく、親同士のけんかもなくなることはなく、ただただ耐え続けていた。
'その子'が言った「君が生きているだけでいいんだ。」その言葉だけが私の支えだった。
毎日公園に行き、夜遅くまでそこで過ごした。
ただそこに'その子'がいないだけ。
でも今日は'その子'と約束をしたあの日。この日が来るのをずっと、ずっと待っていた。
その日は昨日の夜から家に帰らずに、そこで待っていた。
そして、家から睡眠薬をたくさん持ってきたんだ。
もしも、これで'その子'が来なかったらもう私は誰も信じることなんてできない。生きていけないよ。
もうとうの昔に限界は来ているんだから。こんな毎日に終止符を打つことを許してほしい…。
もしも、'その子'が来ないのなら、私はこの公園で死ぬよ。
それぐらい、許してくれるよね?
朝の6時になった。
公園にある時計の針が真っすぐになる。あの日はこれぐらいの時間から公園に向かったかな。
まだまだ外は真っ暗。
朝の9時になった。
近所の小さな子たちが遊び始めた。私もあんな日常を送りたかったな。
空気が澄み切った空は雲一つない青空。
昼の12時になった。
子供たちは帰っていき、また一人になった。'その子'はいつになったら来るんだろう。
少し雲が出てきた。
昼の3時になった。
散歩に歩く人が休憩をしに来た。私のことを訝しげな顔で見た。そんな顔で私を見ないで。
空は雲で覆われた。
夜の6時になった。
もうすでに外は暗い。ちらほら雪が舞い始めた。この雪は止みそうにない。積もるかな?
寒い寒い日。
夜の8時になった。
街灯がともされていて少し明るい。雪も積もってきた。'その子'はいつになったら来るの?
そろそろ、来てもいい時間なのに…。
夜の10時になった。
'その子'はまだ来ない。あと二時間しかないよ?
最後の一秒まで待ってるから。
夜の11時半になった。
ああ。あと三十分で一日が終わる。終わりを告げるかのように雪が止み始めた。
雲も少しずつ減ってきて月が見え始めた。
夜の11時45分になった。
あと15分。もう来ないかな。そうは思いながらも希望を持っている自分がいる。
あと一分。
あと三十秒。
あと十秒。
九
八
七
六
五
四
三
二
一………
零。
なら、私はもう迷わない。
さようなら。
・
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華奈(プロフ) - みぃさん» 遅くなりすみません、読んでくださってありがとうございます、感動していただけて嬉しいです! (2019年9月28日 14時) (レス) id: e9673d1453 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - これを見た時、心が動かされました!!私も色々あってとても辛い時に見まして、勝手に涙が溢れて来ました。この物語を作って下さってありがとうございました(^^) (2019年8月25日 11時) (レス) id: 1278da2542 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ - 訳)I was saved in your smil 私はあなたの笑顔に救われました Happy Birthday Mr' mahumahu 誕生日おめでとう まふまふ! I'm really happy that you here ここに居ることを本当に嬉しく思います 勝手に訳してすみません (2019年8月25日 11時) (レス) id: 1278da2542 (このIDを非表示/違反報告)
華奈(プロフ) - 心愛さん» それは良かったです!ありがとうございます! (2018年11月30日 23時) (レス) id: c9d3152c02 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです! (2018年11月30日 23時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
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