【ま.ふまふ】雪の世界に求めるもの。―完―

伍　／第十八話　本殿の建物の世界 ページ20

どれくらい時間がたっただろうか。


気づいたら布団の中にいるみたいだった。


体を起こすとまふが声をかけた。


「気づいた？大丈夫？」


あのまま寝てたのかな。


『うん。大丈夫。いろいろごめん。』


「いいよ。落ち着いたみたいで。なら今から本殿に行こうか。」


えらい急だな。
いいんだけどさ。


『分かった。』


そう言えば本殿には紫の髪の人がいるって言ってたな。
もしかしたら会えるかもしれない。


「君が今考えてる”紫の髪の人”に会いに行くから。」


え？まふの知り合いだったのかな？


それとなんかまふの言い方少し怒ってる？分かんないけど、私の感じ方かもだけど。


「なら行こう。」


『うん。』


・・・・・・・・

やっぱり人が多いのにはなれないな。
慣れてたらここまで苦労しないんだけどさ。


そんなことを思っているとまふが手を出した。


「繋ぐ？」


優しいな。本当に。私のことを気遣ってくれて。


『……うん。』


うなずきながらそう言った。


そう言うとまふの手が絡まった。
少し握り返した。ありがとうの意を込めて。



しばらく歩くと本殿と思われる大きな建物に到着した。
たくさんの人が出入りしていた。


「なら入ろう。紫の髪の人がいるのは地下だよ。」


なんでどこにいるか分かっちゃうんだろう。
まあいいか。

そんなことを思っているとそらるさんを見つけた。
そらるさんもこちらに気づいたらしく声をかけてきた。


「手つないでるんだ。」


第一声がそれかい。


「そらるさん、少しいいですか？」


「どうしたの。」


そんなことを言うと無言になった。
え？何か話すんじゃなかったの？あ、もしかして心の中を読みあって会話してるとか？ww
そんなわけないか。


少し時間が過ぎた。そらるさんの顔色が少し青くなった気がする。
気のせいか。


「ねぇA。」


そらるさんに呼ばれた。


「なんですか？」


「し…じゃなくて紫の髪の人はどんな格好してた？思い浮かべて。」


そう言えばどうだったっけ？
着物着てたな。あと羽織も。両方黒だった気がするな。普通にシンプルに。それで髪の毛は紫色でしょ？
あ、そういえば首に何かついてたかも。紐みたいなのがかかってた。


「……それまじか。」


そらるさんはそうつぶやいた。
何のことか意味が分からないけど。


「なら俺も一緒に行くから。少しここで待ってて。用事すぐ済ませてくる。」


「分かりました。」


『あ、はい。』


何のことなんだろ。

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