ブーゲンビリア【黒】

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向「じゃ！今日もお疲れさん！」









『うん、お疲れ様！』









会社の前で向井くんと別れ、1人駅方面へと向かう。









そして行きつけの居酒屋の前に着けば、









「Aちゃん、お疲れ様」









『阿部ちゃんもお疲れ様』









小学生の頃からの幼馴染の阿部ちゃんが待っていた。









『ごめんね、待ったでしょ？』









阿「ううん、俺もさっき来たばかりだから」









ほら入ろうよ、と笑顔で先導してくれる阿部ちゃんはやっぱり天使だ。









阿「すみませーん、ビール二つと冷やしトマトと塩キャベツお願いしまーす」









私がいつも頼むものを熟知している阿部ちゃんは何も聞かずに注文を取ってくれる。









そんな阿部ちゃんと私は小学校から大学までずっと同じ学校だった。









小学生の頃に通っていた塾の成績上位の人しか入れない特進クラスで一緒になったのをきっかけに仲良くなった。









阿部ちゃんは得意な理数系を活かした研究職へ進んだ。就職を機に離れ離れになったが、今でも頻繁に連絡はとりあっている。









阿「どう？最近仕事の方は」









『特に変わりはないかな〜、









あ、でもちょっとだけ変わったかなぁ』









阿「なになに？詳しく教えてよ」









『モテモテな同期の人がそんなに悪い人じゃないのかなって思った』









阿「あー、Aちゃんが勝手に苦手って言ってる可哀想な人か〜









目黒くん、だっけ？」









阿部ちゃんは優しいけれどたまに辛辣だ。









でも大体言っていることは正しいから何も言い返せない。









取り敢えず今日あった出来事を一通り話してみる。









阿「へぇ、優しいねその人」









『ね、なんか色んな人がいるんだなって思った』









ビールを飲み干しながらそう言えば、阿部ちゃんは少し悲しそうに微笑んだ。









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