桃ジュース【桃】 (ページ23)

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「おっ、お前は…」

「お久しぶりです、どこに逃げたかと思ったら…

まさかここで再会できるとは思ってませんでしたよ」

「わ、悪かった…

ちゃんと返すから勘弁してくれ…」

さっきとは打って変わって怯えた様子の前川様。

佐久間さんと距離をとって頭を下げだした。

「じゃあ今までの負債を帳消しにしてあげる代わりに、

Aさんに謝ってくれないかな」

さっきからずっと視線をこちらに向けなかった佐久間さんとやっと目が合う。

その目はいつも通りの優しい目だった。

「さっきの的を射ない暴言を撤回して。

全部あなたの力？何も分かってないよ

Aさんの、

応援したい、助けたい、また会いに来たいって思わせる魅力と沢山の努力故でしょ？

こんなに健気に強く生きようと頑張る人を、

簡単な言葉で貶さないでくれるかな」

前川様を叱りつけるように、

同時に私のポッカリと穴が空いた心を満たすように、

佐久間さんは強く言い切った。

前川様は震える足を抑えるように手で抑え、今度は深く頭を下げた。

「す…、すまなかった…」

そして転びそうになりながら走って店から逃げ出した。

一瞬のように感じた嵐のような出来事。

次第にキャスト達やお客様もこちらから視線を外し、店内が明るさを取り戻していった。

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