桃ジュース【桃】 (ページ16)

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あれから何日か経った。

2週間に1回くらいの来店だった前川様はあの出来事以来頻繁に来るようになり、心身ともにかなりキツい。

そして佐久間さんも来店が途絶えていた。

「今日は前川様来なかったね」

控室で安堵の表情を浮かべたラウ。

いつも大体同じ時間に来るのだが今日はまだ来ていない。

その瞬間に少しホッとしてしまった自分がいた。

曲がりなりにも私の売り上げに一番貢献してくれている人なのに、

会うのさえ嫌になってしまってる。

『前はあんな風じゃなかったのにな……』

「そうだね、元々お酒が好きな人ではあったけど。

あんなに無理強いはしてこなかったよね」

お互い暗い表情で話していると、ホールにいた黒服から呼ばれた。

「A、指名入りました」

「いってらっしゃい、無理しないでね」

『うん、ありがとうラウ』

急いでドレスを正し、いつもの席へと向かう。

『あっ……』

席で待っていたのは、

「お久しぶりです、よろしくお願いします」

わざわざ立ち上がって挨拶してくれる人。

『佐久間さん、すごく会いたかったです…』

「あははっ、そんな顔で言われたら照れちゃいますね笑」

2週間ぶりくらいに見る彼の姿、それだけで何故か心がふわっと軽くなった。

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