桃ジュース【桃】 (ページ5)

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「なら俺との時くらいは楽にして下さい。

お酒苦手な人の気持ちわかりますから！

ほら、もうこんなに肌赤くなってる！笑」

自分の腕を見ておかしそうに笑う彼。

その赤い腕がアルコールが苦手なのを物語っている。

『ありがとうございます』

「いーえー！どういたしまして」

なんだかいつもの接客モードに上手く入れなくて調子が狂う。

悩みを聞いたり、自慢話を聞いたり、お酒に酔ってくると下劣なことを言われたりもするこの仕事。

本来なら私たちが気遣うべき場所なのに、なぜか気遣われてしまっている。

『あっ、そういえばお名前は？』

「申し遅れました、佐久間って言います！」

『佐久間様、面白い人ですね』

「そうですかね？なんもしてないですけどね〜

あとなんか様付けは恥ずかしいんでせめてさん付けにして下さい笑」

にかっと白い歯を見せて笑う佐久間さん。

とても良い人だというのが嫌なほどに伝わる。

欲に塗れた人を多く見てきた私の目には痛々しいくらいに眩しく見えた。

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