短編集【雪】

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…









『えっ？』









予想外の言葉に思わず間抜けな声が出る。









「俺も居れば見つかった時に









"村上君にお願いされたから来てる"









って言い訳できるでしょ？









あと、今回みたいに届かない場所の本も取ってあげられるし」









あと見つからないものがあった時2人で探した方が早いよね、なんて私からしたら利点であろう事をいくつか挙げていく村上君。









確かにそうかもしれないけれど、そんなことをして村上君になんの得があるのだろうか。









『でも、村上君はなんでわざわざ……』









「…………」









そう聞いた途端に黙り込む村上君。









私もどうしたらいいのか分からなくてただただ目をキョロキョロさせていると、









「Aさんと話してみたかったから………」









耳と顔を真っ赤にした村上君がボソリと呟いた。









でも、私の耳には届かず。









『今なんて言ったの？』









聞き返せば村上君は隣の教室にまで届きそうな大声で、









「Aさんと話したいだけ！！！









取り敢えず今日は俺もう帰るから明日もここに居てね！！！！！









約束だから！！！」









と言い残して走って去っていった。









『なんだったの……？』









嵐のような出来事だった。









いくら考えても村上君の真意は分からないまま。









『取り敢えず、これ読むか……』









村上君が取ってくれた本を持って、いつもの席へと向かった。









なんだかいつもより文字がキラキラとして見えた。









…

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