短編集【雪】

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…






『嫌いじゃないよ……！』








なんだか申し訳ない気持ちになってしまってラウールくんの目を真っ直ぐ見て伝えた。








『嫌い……じゃないけど、





嘘つかれたのは嫌だった……』








この際正直に言おう、と腹を括った。









ラ「えっ……？






俺Aさんに嘘なんか……」









『邦ロックが一番好きって言ってたよね。








でも本当は違うんでしょ？』







途端にラウールくんは唖然とした表情になった。









ラ「あぁ……昨日の聞いてたんだ」









そして、苦しそうに顔を歪めたあと、









ラ「あーーー！かっこ悪りぃ俺っ！！！！」








声を荒らげつつ頭を掻き毟った。








『えっ？』









突然の事態に頭が追いつかない。









ラ「俺さ、Aさんと仲良くなりたくて。









あの時やっと話せるチャンスができたって思って嘘ついちゃって……」









私が邦ロックが好きと聞いた時に咄嗟に嘘をついてしまったこと、









自分がアイドルが好きだとバレたら嫌われてしまうかもと怖くて必死に隠していたこと、









私と話をしたくて沢山曲を聴いて予習したこと、








昨日も2ndシングルの話についていけなくて帰った後すぐに聴いて確かめたこと、







ラウールくんが顔を赤くしながらたどたどしく話す内容は全て嘘じゃないことは伝わった。









けど、どうしても理解出来なかった。









『なんでそこまでするの……？』









首を傾げながら聞いてみれば、









ラ「ここまで言って、何も勘づかないの……？」









と拍子抜けといった様子のラウールくん。









ラ「あーー！もう！好きなんだよ！」









ガタンと音を立てて立ち上がったラウールくん。









高身長でただでさえ目立つ彼、教室のみんなの視線は一斉に集まった。








…

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