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…
阿「じゃあ、またね」
『はい、また』
バタン、と扉が閉まった途端に走馬灯のように今日の出来事が頭を駆け巡る。
もう疲れるだけ、傷つくだけだからと恋愛を諦めかけていた所だった。
そんな所に現れた阿部の存在。
『どうすればいいんだろう……』
阿部との時間は楽しいし心地よいし、今までの関係を続けていたいとは思ってはいたが、
その先となるとどうも踏み留まってしまう。
また傷つくのでは無いだろうか、
同じことの繰り返しになるのでは無いだろうか。
答えが出ずにモヤモヤする気持ち。
そんな時、スマホにメッセージが届いた。
阿部亮平Aさん!助けてください!!!
猫が泣いているスタンプと共に届いたメッセージ。
慌てて家を飛び出て隣の部屋のインターホンを押す。
『阿部さん?!どうしましたか……?!?!』
阿「卵焼きが……!!!丸焦げに……!!!」
『たっ、卵焼き……?!』
阿部に案内されキッチンに辿り着けばモクモクとあがる煙と焦げ臭い匂い。
フライパンには可哀想な姿になった卵焼きらしきものが。
キッチンには他にも何回も試して失敗したであろうものが沢山置かれていた。
『火力が間違ってたみたいですね……
それにしてもなんで阿部さんが料理を……?』
私が作った料理を食べに来ることしか無かったのに、と急な阿部の行動に驚いた。
阿「いつも美味しいもの食べさせて貰ってるので……、
何かお返し出来ないかなぁって思って料理をしてみたんです」
今にも泣きそうな声で俯きながら言われた言葉があまりにも可愛らしくて思わず胸を打たれた。
阿「ごめんなさい、
結局呼び出して迷惑かけちゃった…………
僕もなにかAさんにお返ししたかったのに…」
阿部は本当にあざとい人だ。
何か心につっかえていたものが消えた気がした。
『私は阿部さんと過ごしてる時間がすごく好きだから、それだけで十分です』
あんなに荒んでいた心が晴れたように軽かった。
阿「Aさん…………
その言葉、僕の都合のいいように捉えちゃってもいいんですか?」
確かに告白地味た言い方だったなぁと思う。
『いいですよ』
そう返せば、阿部は嬉しそうに微笑んだ。
…
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かおん(プロフ) - わぁー!返信いただけて嬉しいです!この続きが気になる感じたまらないですね!また他の作品も愛読させていただきます! (2021年5月13日 0時) (レス) id: fe14f82703 (このIDを非表示/違反報告)
虹バラ(プロフ) - かおんさん» 感想ありがとうございます!今後の2人がどうなるか、作者自身も気になっております笑 今のところ書く予定はありませんが参考にさせて頂きます、ありがとうございます! (2021年5月12日 20時) (レス) id: dbf5e0dd75 (このIDを非表示/違反報告)
かおん(プロフ) - とても面白かったです!意味深な形で終わるのも好きですが続きが気になっちゃいます!笑もしよかったら続きお願いします! (2021年5月11日 17時) (レス) id: fe14f82703 (このIDを非表示/違反報告)
虹バラ(プロフ) - レーズンパンさん» 感想ありがとうございます!そう言って貰えるととても嬉しいです、お時間を割いて目を通していただきありがとうございました! (2021年3月18日 22時) (レス) id: dbf5e0dd75 (このIDを非表示/違反報告)
レーズンパン(プロフ) - とても面白かったです!サイコパス阿部の片鱗が見えるタイミングが凄く好きでした! (2021年3月10日 22時) (レス) id: 2d8416a236 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹バラ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/royal_myrt25
作成日時:2021年2月14日 9時