穏やかな仮面【緑】

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家に着き、お互いの扉の前に立つ。







『今日はありがとうございました』








阿「こちらこそ、





付き合ってくれてありがとうございました」








そう言うと、阿部はポケットから1つキーホルダーを取り出して私の手に乗せた。









『えっ……これ私に？』









阿「はい、





僕のわがままに付き合ってくれたお礼です。」








小さい緑色のイルカのキーホルダー。








思わず頬が緩んだ。









『元はと言えば私がご迷惑をおかけしたお詫びですから……。








でも嬉しいです、ありがとうございます』









阿「喜んでもらえて良かった」








阿部は嬉しそうに微笑んだ後に、








阿「あの……連絡先交換しませんか？」








と緊張混じりの表情で言った。








正直、この連絡先を聞いてくる行為に読書仲間以外の気持ちも含まれているかもと感じた。









けれど、それ以上に阿部との時間の心地良さを求めている自分もいた。









『はい、ぜひ』









お互いのメッセージアプリに名前が表示されたのを確認して、今日はお開きとなった。









…

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