◆46話 ページ47
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「ありが、とう」
腑抜けた顔の直斗。
さっきの赤面といい、今日は私得すぎる。
「え、あの」
……待って、そんなこと言ってる場合じゃないよもう。
顔、熱すぎる。
変な汗出てきたかも。
私のほうを先に冷さないと。
……恥ずかし。
「ごめ、うれしくて!」
目をそらして窓の外を見る。
まだ真っ暗で、夏祭りに行く前に見た星空が、そのまま広がっていた。
「うれしいのは俺も。……いつから、その……好き、だったの」
え、いつからって、そりゃ、初めて会った日から、ずっと……。
待って待って、いきなり重すぎないかな、大丈夫かな。
もう意味わかんない、なんなの、さっきまで絶望してたのに。
直斗のほうは見れないまま、早口になりながら答える。
「ずっと!ずっと好きだった、初めからずっと!」
うわあ、こんなこと絶対言えないと思ったのに。
勢いがついちゃうと案外言えるものなの?
「……なん、だよ、俺もそうだよ、ずっと好きだった」
思わず直斗のほうに振り返る。
さっきまでと違ったほどけた表情で、何かに安心しているみたい。
つられて私も緩んじゃうじゃん。
「ずっと好きなら、今まで……」
無駄だったの?
……いや、無駄ではないかもしれない。
好きって気持ちがここまで大きくなったのは、一緒にいた時間があったから。
あの頃の私たちが両想いになったところで、きっとここまで大事な感情にはできない。
今、私は、今の私だからこそ、ちゃんと直斗に言えたんだ。
言わなきゃと思えたんだ。
ああなんで、こんなに愛しいんだろう。
きっと、他の人にはわからない。
彩音ちゃんも直斗を好きだったけど、多分少し違う感情。
足に力を入れて、立ち上がる。
椅子に座っている直斗と目が合って、余計恥ずかしい。
でも、今は片想いじゃなくて、両想いなんだ。
勘違いじゃない。
臆病にはならなくていい。……多分。
「好き、だよ」
直斗の背中に腕を回した。
流石に、今の顔は見られたくないな。
真っ赤なんてものじゃないと思う、これ以上ないくらい真っ赤。
「俺も、好きだよ。ありがとう、それから……よろしく」
抱き返されて、一瞬でこれ以上の真っ赤になった。
幸せってこういうことを言うのかな。
抱き締めた腕に、力を込めて答える。
「うん、こちらこそ、よろしく」
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みなとS*(プロフ) - まゆみさん» 読んでてぱっと感じる印象とは違った、っていうのを目指していたので嬉しいです……!コメントありがとうございました、頑張ります〜 (2019年6月13日 5時) (レス) id: 9a77893b90 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ - 面白かったでっす!!彩音さんは友達たくさんいそうなイメージあったけど実際はいじめられてたんですね。いじめって怖い。これからも頑張ってネー!!!^^ (2019年4月15日 3時) (レス) id: d4ac2eaa92 (このIDを非表示/違反報告)
みなとS*(プロフ) - アラーネアさん» アドバイスありがとうございます。おもしろかったといってくださり光栄です。アドバイスを糧に精進します! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 06aef33b9e (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - いいですよ!ですが、面白かったですよ!!完結していますが頑張ってください!! (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - 読みました!!セリフ以外全てが夢主sideになっているのはなるべく避けたほうが良いです。そして、もう少し人の様子などを入れた方が、読み手も想像しやいです。小説は、いかにどれだけ文章で状況、様子を表現できるか。ですので、夢主が考えていることは()にした方が (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなとS* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月27日 7時