◆42話 ページ43
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「えっと、今まで何回も言おうとしてたんだけど」
少し間があいた。
何を、言うつもりなのか。
全く予想できないけど、大事なことなのはわかる。
「……続きは?言ってよ」
促すと直斗は、一瞬窓の外に視線をやった。
「俺の友達に、Aのこと好きなやつがいるんだよね」
……なんていうか。
もう驚かなかった。
直斗が私に興味がないであろうことはわかっていたし。
「そうなんだ?で、私に何をしろと」
それでもきつい。
振られたようなもんだから。
どうしよう、直斗が帰ったら思い出でも振り返るか。
なんで自分はこんなに冷めてるんだろう。
色々ありすぎたからかな、現実味がない。
直斗がいる前ではあったけれど、脱力して背中からベッドに倒れこむ。
……なんか、全部、終わった気がするなあ……。
目をつぶってみた。
何も浮かばなかった。
「とりあえずそいつと仲良くしてやってほしい。俺からはそれだけ」
直斗の声が体の中でこだます。
俺からはそれだけ。
付き合ってやれ、とか言われなくてよかった。
歯を食いしばりもう一度起き上がる。
「そっか、わかった。仲良くするよ」
「ん、さんきゅな」
もうまっすぐ前を見るなんてできなかった。
自分がどこを見ているのかわからない。
十年以上の恋が、終わったんだ。
たった一言で、全部わかってしまった。
友達なんて知らない。
私が好きなのは直斗だよ。
そう言えたらいいのに。
ずっと隠してきた思いを、伝えられたらよかったのに。
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みなとS*(プロフ) - まゆみさん» 読んでてぱっと感じる印象とは違った、っていうのを目指していたので嬉しいです……!コメントありがとうございました、頑張ります〜 (2019年6月13日 5時) (レス) id: 9a77893b90 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ - 面白かったでっす!!彩音さんは友達たくさんいそうなイメージあったけど実際はいじめられてたんですね。いじめって怖い。これからも頑張ってネー!!!^^ (2019年4月15日 3時) (レス) id: d4ac2eaa92 (このIDを非表示/違反報告)
みなとS*(プロフ) - アラーネアさん» アドバイスありがとうございます。おもしろかったといってくださり光栄です。アドバイスを糧に精進します! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 06aef33b9e (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - いいですよ!ですが、面白かったですよ!!完結していますが頑張ってください!! (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - 読みました!!セリフ以外全てが夢主sideになっているのはなるべく避けたほうが良いです。そして、もう少し人の様子などを入れた方が、読み手も想像しやいです。小説は、いかにどれだけ文章で状況、様子を表現できるか。ですので、夢主が考えていることは()にした方が (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなとS* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月27日 7時