◆19話 ページ20
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夏祭り当日。
時刻は夜の七時、家を出るにはちょうどいい時間。
……直斗と一緒ならね。
結局直斗は、彩音ちゃんをとった。
今頃二人はお互いを意識しながら楽しんでいるはずだし、私は家に一人。
彩音ちゃんがなんて言ったのかは知らない。
でもどっちにしろ、直斗が私を選ぶことはなかっただろう。
先に約束していたとしても、好きなのは彩音ちゃん。
こんなチャンス逃すはずがない。
……お幸せに。
二人で、私のことなんて忘れてうまくやるんだよ。
リビングに出ちゃうとお母さんに、夏祭り行かないの?とか言われる。絶対。
このまま部屋で時間をつぶしていよう。
直斗と彩音ちゃん、二人を祝うように晴れた星空を眺める。
雲一つない、ガラス細工のような空。
深い青で塗りこめられた中に、数えきれないほどの星が光っている。
月は出ていない。
新月なのかな、そんなことを考える。
……やっぱり、無理だ。
気にしないなんて、できない。
何を見ても、直斗と彩音ちゃんが脳裏をよぎる。
早く言えばよかった。早く好きって伝えればよかった。
そうすれば、今直斗と一緒にいるのは私だったかもしれないのに。
どうして、どうして彩音ちゃんなんだろう。
どうして私じゃないんだろう。
私のほうが長い時間一緒にいたのに。
きっと、私のほうが強く想っているのに。
どうして私はこんなに苦しいんだろう。
どうして。どうして……っ!
「なお、と、好きだよ!」
もう絶対に言うことのできない言葉を口にする。
つかんだシーツに深いしわができた。
「大好き。ずっと好きだった。今でも、好き。好き……っ」
この想いが、伝わってくれればいいのに。
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みなとS*(プロフ) - まゆみさん» 読んでてぱっと感じる印象とは違った、っていうのを目指していたので嬉しいです……!コメントありがとうございました、頑張ります〜 (2019年6月13日 5時) (レス) id: 9a77893b90 (このIDを非表示/違反報告)
まゆみ - 面白かったでっす!!彩音さんは友達たくさんいそうなイメージあったけど実際はいじめられてたんですね。いじめって怖い。これからも頑張ってネー!!!^^ (2019年4月15日 3時) (レス) id: d4ac2eaa92 (このIDを非表示/違反報告)
みなとS*(プロフ) - アラーネアさん» アドバイスありがとうございます。おもしろかったといってくださり光栄です。アドバイスを糧に精進します! (2018年11月2日 22時) (レス) id: 06aef33b9e (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - いいですよ!ですが、面白かったですよ!!完結していますが頑張ってください!! (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
アラーネア(プロフ) - 読みました!!セリフ以外全てが夢主sideになっているのはなるべく避けたほうが良いです。そして、もう少し人の様子などを入れた方が、読み手も想像しやいです。小説は、いかにどれだけ文章で状況、様子を表現できるか。ですので、夢主が考えていることは()にした方が (2018年11月2日 16時) (レス) id: 7bda2fd29b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みなとS* | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月27日 7時