六年生の実戦的実習の段 9 ページ10
『…な、なんでここにいるんだ…福冨しんべヱ…山村喜三太…!?』
(まずい…非常にまずい…。基本一歩先や、周りの人間の動きを読んで行動する仙蔵にとって、ああいう何も考えずに行動して予想外を連発する、あの二人は相性が最悪…!)
めんどくさいことに…と思わず頭を抱える龍之介
(そもそも、僕だってあの二人とはセットでは出来る限り関わりたくない…!なぜなら考えが読めないから!!さらに唯一あの厄介児を無効化できる伊作は離れているし、あの喧嘩コンビは仙蔵の怒りにガソリンを撒き散らすことしかしない…!)
『だが、そうも言っていられないからねぇ。しょうがないね』
視線の先で六年生たちがいる方向に向かって歩き始めた二人を見て、致し方ないと判断し、背負っていた弓を取り出す
義足を普段使い用から木の上で行動するための滑り止めの針がついたものに履き替え、矢を弓につがえて引き絞る
パッと矢から手を離すと、まっすぐに飛んでいった矢は、しんべヱたちの進行方向に立てかけられていた木材をたばねていた紐を見事に切断した
大きな音を立てながら崩れたそれに、城の中から人が集まってくる
あの二人がひどく驚いた様子で説明をしているのを確認し、龍之介は弓を背中に戻す
『…よし、っとこれでいいかな。僕もそろそろ行くかぁ!』
首からかけていた笛を吹き、鳥の鳴き声に擬態させた合図の音色をたてる
そして、身軽さには人一倍自信のある龍之介
気配を消しつつ、木の上をひょいひょいとほとんど腕の筋肉と、遠心力だけで進み、あっさり敷地内に入ってしまった
『さぁて、本丸はもうすぐそこだね…!』
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時