兵庫水軍の海の段3 ページ48
あいさつもほどほどに、新しく導入された船に乗って海に出る
『ん〜、潮の匂い…気持ちいいねぇ…』
仙蔵「船の上もやはり良いものだな」
『水がきれいだから魚も見えるね』
仙蔵「おっ、おい!龍之介、落ちるぞ!」
身を半分以上乗り出して海をのぞきこむ龍之介の袴を焦ってつかむ仙蔵
そんな二人を水軍衆は保護者の目で見守っていた
義丸「いやぁ、いい兄弟…」
鬼蜘蛛丸「あれで実の兄弟じゃねぇんだからなぁ」
舳丸「養子ではあるらしいですが…」
重「なんか、本当の兄弟より兄弟っぽいですよね」
そんなほのぼのとした空気が漂う中、義丸が見張り小屋から狼煙があがったのに気付いた
義丸「!お頭ぁ!ドクタケ忍者発見の合図です!」
協栄丸「何!?またアイツらか」
一気に船の上が騒がしくなり、海を見渡していた鬼蜘蛛丸が声をあげる
鬼蜘蛛丸「ドクタケ忍者発見!いつもの恐竜さんボートが三隻です!」
舳丸「灸を据えに…」
舳丸と重が一歩まえに踏み出したとき、水軍衆は不穏な空気が流れ出しているのに気が付いた
仙蔵「龍之介が楽しみにしていたから…最高の休みになることを望んでいたというのに…」
『仙蔵が海に行くの、嬉しそうにしてたから僕ももっと楽しみだったのに…』
心なしか、二人の殺気によって結ばれた髪がうごめいている気がする
「『許さん…!』」
『仙蔵、コレ』
仙蔵「任せろ、完璧に仕上げる」
テキパキと動き出した二人に、水軍衆が集まってくる
仙蔵は龍之介から渡された矢になにか筒状のものをくくりつけている
龍之介はというと、懐から手袋と腕当てを取り出して装着していた
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時