兵庫水軍の海の段1 ページ46
文次郎「今日は忍術学園は休みということだが…お前たちは兵庫水軍の海に行くんだったな?」
文次郎が帳面から顔を上げて、同室である仙蔵と龍之介を見上げた
二人ともよそ行きの着物に着替えている
『本当は街に行くつもりだったんだけど、昨日兵庫第三協栄丸さんからお手紙が来てねぇ』
仙蔵「新しい船に乗ってみませんか、とのお誘いだ」
楽しみ〜!とご機嫌で食堂のおばちゃんからお弁当を受け取りに部屋を出ていく龍之介は、年相応な15歳の少年に見えて、思わず文次郎が笑う
文次郎「いつもは何考えてるかいまいち分かんねぇ奴だってのに…」
仙蔵「手紙を受け取ったあたりから、随分と楽しみにしていたからな。…まぁ、かく言う私も楽しみだ。お前はいけなくて残念だな?」
文次郎「自慢かよ…。まぁ委員会が忙しくてな。学園長先生の突然の思い付きによる出費がな…」
仙蔵「それはお疲れさまだな。土産は持ってきてやる」
文次郎「生魚か」
仙蔵「悪いか?」
『じゃあたたきにして持って帰ろうか』
文次郎「せめて干してあってくれ。持って帰ってくる間に腐るだろう」
軽口に便乗しながら龍之介が戻ってきた
いってきまーす、と部屋を出ていく二人を見送った文次郎が窓から外を見上げる
文次郎「今日は一日晴れそうだな…」
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時