改-塀登りができないの段1 ページ29
とある日の午前中
六年生は授業も実践的実習もなく、各々が自主練や委員会活動を行っていたとき
校庭では龍之介が松葉杖なしで歩く練習をしていた
杖がなくても歩くことは出来るものの、どうしても体の軸が左右に揺れてしまい、変装をしたときにバレる原因となってしまうためだ
頭の上に竹筒をのせ、それを落とさないようにしつつまっすぐに…
乱太郎「あっ、五十嵐龍之介先輩〜!!」
『ん?』
呼ばれて立ち止まり、龍之介が視線だけ横に動かすと乱太郎きり丸の二人が走りよって来ているのが見えた
竹筒をおろし、振り返る
『やぁ、どうしたの?』
乱太郎「それが…」
カクカクシカジカ
『塀登りの練習中で、唯一塀をまたぐことすら出来なかったしんべヱの、出来なかった原因を探している?』
きり丸「そうなんすよ。しんべヱだけ出来なくって…」
『まぁ…体が重いんじゃないかねぇ…』
苦笑いしながら答える龍之介に、二人が納得の声をあげる
『そんな顔しなくても、僕じゃなくても百人中百人がそう答えると思うけど…』
きり丸「じゃあ、食べ過ぎが原因?」
『だろうねぇ』
乱太郎「じゃあ…ってアレ!?しんべヱは!?」
ハッとした乱太郎が、隣にいると思っていたしんべヱを探す
『最初からいなかったじゃない?』
きり丸「どこに行ったんだ、しんべヱの奴…」
そう呟くきり丸に、空を見上げていた龍之介が答える
『太陽の位置的に、今は昼。ってことは、食堂にランチにでも行ってるんじゃないかねぇ?』
乱太郎「わっ!絶対そうだ!先輩!一緒に来てください!」
『えぇっ!?僕も!?』
ガッシリ腕をつかまれた龍之介が、半分引きずられるようにしながら食堂へ向かう
バッと食堂をのぞきこむと、案の定いつもの席に座ったしんべヱが…
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作者名:湊 | 作成日時:2023年9月22日 8時