危険な薬草取りの段 6 ページ23
乱太郎side
『…あ…まずい…』
先輩がそう呟く
次の瞬間、龍之介先輩の首がガクンと力がなくなったように前に落ちた
すぐに顔をあげたけど、その表情はいつものにこやかなそれとは違う…
『てめぇら…うちの後輩を泣かせるたぁ、いい度胸だなぁ、オイ。その腐った性根、叩き直してやんよ…！』
犬歯をのぞかせながら山賊を睨み付ける龍之介先輩は、目に光がなくて、中在家先輩が怒っているときよりずっと不気味だった…
「んだとこのガキがぁ…！やってやんよ、お前らかかれぇ！」
『潰す…！』
龍之介先輩に向かって四人の男達が飛びかかる
いくら先輩が六年生とは言え、片足で大人の男の人四人には…
そう思った次の瞬間、龍之介先輩の姿が消えた
…いや、驚異的な跳躍力で一瞬のうちに上に高く跳んだんだ…！
ひょい、と空中で体勢を立て直した先輩が一人の肩に肩車の要領で座り、上半身をねじって地面になぎ倒す
顔面を打ち付けて気絶した男の隣に手をつき、地面を蹴り上げる勢いを殺さず近くにいた男の首に足を伸ばす
足首と義足の棒の部分で男の首を挟んで、からだが横に倒れる過程で頸動脈を圧迫して男の意識を落とした
次に、先輩の視線の先にあった三人目の山賊の足首を掴み、地面に沈んだ体を起こす勢いのまま、その細い腕のどこから出たのか分からないほどのバカ力で思いきり山賊を投げた
お手玉のように放り投げられた山賊が近くの木に強か背中をぶつけて、意識を失って倒れる
立ち上がった先輩が、先程起き上がるついでに拾っていた山賊たちの刀を両手に持ち、唖然としている残りの一人に飛びかかった
押し倒し、刀を交差させて山賊を地面に縫い止める
男の首にギリ当たらない程度に地面に刺さって固定された刀は、少しでも動けば、ハサミの刃のようになった両刀の餌食になるだろう…
乱太郎「…！(すごい…！これが六年生の実力…！一瞬で四人を倒しちゃった！)」
思わず言葉を失って驚嘆していると、自分の横でパァン、と音がした
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作者名：湊 | 作成日時：2023年9月22日 8時
