僕の望みは、「平穏」【六年生】【男主】【RKRN 】 (ページ19)

今日:6 hit、昨日:59 hit、合計:13,878 hit

危険な薬草取りの段　2 ページ19

大急ぎで正門に走ると、すでに龍之介は松葉杖に体を預けて空を見上げていた

乱太郎「(どうしよう…。けっこう待たせてしまった…！…ここは、正直に謝ろう…)い、五十嵐龍之介先輩！」

『ん、あぁ乱太郎』

乱太郎「すいません！すっかり約束を忘れてしまっていました！！」

腰を直角曲げて謝る乱太郎

乱太郎(龍之介先輩は普段温厚な性格で、怒ってるところなんて見たことがないという噂…。でも、そういう人ほど本当に怒ったときは怖い…！)

立花先輩や、中在家先輩しかり、と心の中でビクビクしながら頭を下げる

コツコツ、と松葉杖の音を立てて近付いてきた龍之介の気配に、思わず体を固くする

スッと手があげられたその時、ポンと乱太郎の頭にその手が優しく置かれた

『誰だって忘れることくらいあるさ、頭を上げて？早く薬草取りに行こう！』

乱太郎「えっ…お、怒ってないんですか…？」

おそるおそる顔を上げる乱太郎であったが、視線の先には不思議そうな顔をした龍之介が───

『別に僕、怒ることないけど？』

乱太郎「でも、わたし遅刻しましたし…」

『うーん…でも、別に放課後に薬草取りに付き合ってやってくれ、って頼まれただけで、放課後の、いつから薬草取りに行くかは教えられなかったし…』

乱太郎「…え…？」

つまり、放課後、と言われただけだったから、放課後であればいつから薬草取りに行っても大丈夫

だから、乱太郎は別に約束に遅れていない、ということ…？

龍之介の言うことを理解した乱太郎が思わず笑う

乱太郎「…でも、それって屁理屈なんじゃ…」

『屁理屈でもなんでもいいじゃな～い。楽しく薬草取りに行くのに、一番最初が説教なんて乱太郎も嫌でしょう？』

細かいことは気にしな～い！と小平太の口癖を真似る龍之介に乱太郎はホッと息を吐いた