私がいないハイキューの世界

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青葉城西は私立で強豪校とあってか莫大な校舎の大きさだ。ハイ、体育館先間違えた。高校は体育館一つって決まってないからなぁ。北川第一も前世も体育館一つだからね。全く騙されたよバーロー。私は部員の水筒半分をカゴに入れて歩き回る。こりゃはたから見れば万引き犯だよ。万引き犯するくらいなら裸で引かれた方がマシ。人の記憶に永遠とこびり付いてやる。変な気持ちで知らない体育館付近を歩き回っていると、後ろから声をかけられた。声は”リアル”では聞いたことない。


「あれ、烏野のマネージャーだよな。こんな所で何してんだッてあっ・・・。松川ぁ‼︎この子例の”お姉ちゃん”だ‼︎」

「え、本当？名前、御手洗Aちゃんで合ってるよね？」

「え、あ、ハイ」


何で練習試合始まるのに外に出てるんですかい、花巻松川ペア。しかし、救われたのは救われた。


「あの、ココって何処ですか？すいません、自分勝手に集団から抜けてしまって・・・」

「あぁ、迷子ね。お姉ちゃんらしくない」

「何でもかんでもお姉ちゃんじゃないですから何方かと言えばババァですけど」


それで花巻さんは笑う。いや、私本当にババァだからね。本当、本当。おばちゃん嘘はついてないよ。ただ今まで見え張ってただけだよ。まぁ、それが言えるわけでもなく。花巻さんと松川さんの間で歩く私は、そう言えば、と思い出す。ちなみにお二人は優しいから水筒を持ってくださった。流石に重たくて言葉に甘えてしまったが。


「例のお姉ちゃんってどういう事ですかね」


そんな時に話を入れる。すると二人は顔を見合わせて、怪しげに笑う。何だその笑顔は。妖怪か？片方はカッパか？ 失礼な事を考えたが、直ぐにその思考は消される。松川さんが話し出したからだ。


「いや、及川が煩いんだよ。お姉ちゃんがどうとかAが飛雄に取られるとか」

「あぁ、お母さんが取られて拗ねるお兄ちゃんみたいな」

「いや、それはちょっとニュアンス違うと思うけどな」


取り敢えず、二人はあやふやな言い方をした。ちなみにその直ぐ後に、皆が集合している体育館の入り口まで着いた。そして、二人とお別れする際、二人はニヤッと私の方を見て笑った。


「お姉ちゃん、やっぱり可愛いね」


ナンパかよ。つい言葉が出てしまったが、外にいたお陰で風に飲み込まれて届かなかった。

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