【妖怪ウォッチシャドウサイド】エンマの妹は妖怪探偵団所属 (ページ44)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:32,806 hit

第43話ページ44

NOside

アキノリ「おい、寸胴丸！なんでもったいない男に
なって悪さをしていたんだ？」

寸胴丸「それは…」

寸胴丸「…私の実体は、このラーメン屋で開店以来
ずっと使われていた寸胴だった」

寸胴丸「この店は地元の人達にずっと愛され続けていたんだ」

寸胴丸「中でも…店主自慢のボリューム満点大盛り
ラーメンは、お客さんをいつも笑顔にしてきた」

寸胴丸「それから何十年…店主も年を取り、肩や腰を痛めながらも、

毎日コツコツとラーメンを作り続けていたんだが…」

寸胴丸「体力の限界が来てしまい、店主はついに…
店を畳む決心をしたのだ」

寸胴丸「それから私の心は、空の寸胴のように虚しさを感じ続けて…

気がついたら、妖怪の姿になっていたんだ」

寸胴丸「やがて私は…食べ物を残すほど腹も心も
満たされた人々を妬むようになり…

私のその醜い心が、もったいない男という存在を
作り出してしまったのだ」

寸胴丸「私はただ、寸胴の中をラーメンで満たしていたかっただけなのに…」

ナツメ「…なんか可哀想だね」

トウマ「でも僕達にできることは…」

寸胴丸の話を聞き、なんとかしようと思った矢先…
裏口の鍵が開くような音と共に、親子が入ってきた。

息子「俺に親父の味が引き継げるのかな…」

店主「それは分からん。この世界は甘くないからな」

ナツメ「あれってこのお店の店主…？」

トウマ「どうやら息子さんが後を継ぐみたいだね」

バレないようにテーブルの下に隠れながら、
ナツメとトウマは言葉を交わす。

店主「俺達ラーメン屋にできるのはお客さんが満足する味を追求し、努力することだけだ」

店主「店をやってりゃあ辛いことも、辞めたくなることもあるだろうよ」

店主「でもな…そんな苦労も、お客さんの"美味しかった"の一言で全部吹っ飛んじまうんだ」

店主である父親はにこやかにそう話す。

息子「…そっか」

店主「この店を継ぐってんなら、こいつをお前に託さないとな」

息子「これは親父の…」

店主「嗚呼。こいつがいたから、俺はラーメン屋をやってこられたんだ」

店主「なぁ…これからは、息子をよろしく頼むぜ？」

寸胴丸「…ああ、任せてくれ！相棒！」

寸胴丸は目に涙を溜めながら、笑ってそう言った。
すると、寸胴丸の身体が淡く光る。

そしてそれはアークに変わり、トウマの手の中に落ちた。