雪の華(ロマーノ) ページ14
｢ロマはよしてやー！｣
｢わかったからちょっと待てA！｣
天気予報で雪が降ると伝えられ
急いで身支度を済ませて手を繋ぎ高台まで走った
高台に着き、ベンチに座ったところで雪が降り出した
｢初雪見れたね！｣
｢おう｣
めちゃくちゃ寒いはずなのに何故か暖かい
｢なぁ、A｣
｢何ー？｣
｢来年も見ような｣
｢言うと思ったw｣
あれから丁度一年が経った
カレンダーには初雪記念日と彼女の字で書いてある
スっとそれをなぞった
｢なぁ、帰ってこいよ｣
今年も今日が初雪になりそうだ
一人身支度を済ませ、雪の降る道を歩く
去年と同じベンチを見ると彼女の座っていたところに
雪の華が咲いていた
｢帰ってきたのか...｣
一つ指先で掬うとじわじわと指先が冷えていく
視界がぼやけて彼女が現れる
『ロマ、1人にしてごめんね』
｢俺も行っちゃダメなのか？｣
『まだ、ダメかな！その時になったら迎えに行くね』
｢寂しいんだよ、帰ってこいよ！｣
『寂しいのはお互い様、私だってそっちに帰りたいよ』
彼女は顔を背ける
すると体が光出した
『バイバイの時間だ、ごめんね』
｢嫌だ、待って...！｣
そう伸ばした手は空を切る
手のひらに残ったのは雪の華だった
俺の体温でじわじわ溶けだす
｢ロマ、こんなとこで何しとん!?｣
トマト野郎が迎えに来ていた
風を引くからと車に押し込まれる
｢そういえばロマ、これあげるわ｣
｢な...んだこれ...｣
｢今日夢の中でな、Aちゃん出てきてこれ渡せって｣
｢Aが？｣
｢起きたら手の中にあって渡さんとと思ったんやけどロマ家におらんし｣
渡されたのは水色のラインが入った指輪
内側には白い文字でPrima neve と刻まれている
｢スペイン、花屋寄ってくれ｣
｢急にどしたん？｣
｢用があるんだ｣
そう言って選んだのは白と紫のアネモネ
花束を抱えてもう一度あの場所へ戻る
｢指輪、ありがとな｣
また、来年の初雪記念日に
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作者名：守宮烏 | 作成日時：2019年11月15日 21時
