同い年にだけは<月島> ページ8
「あれ、花宮さんトマトは?」
ギクリッ
なんて効果音が着きそうなほど、その声と発言に体を強張らせる。
私の頭の中では意味のわからないサイレンのような音が危険を知らせるかのように鳴り響いていた。
いや、まさかこんな所を見られてしまうなんてっ
先輩たちならまだしも同い年、しかもよりにもよって月島だと!?
ヤバい、これはかなりヤバい。
どれくらいやばいかって言うと、学校で白い服に絵の具を撒き散らかして家に帰ると、母に「アンタなんでこないに汚して帰ってくるん!?」って主婦の大変さを30分くらい正座で聞かされて、しまいには足痺れすぎて立てんなるほどのヤバさ。
それだとあまり伝わらないかもしれないけど、それくらいのやばさ。
別に命に関わらないような感じの…
まあ、それは置いといて。
『……最後に食べようかと…』
「ほんとに?僕はてっきり、あの花宮さんにも苦手なものがあるのだと…」
『苦手じゃないよっ!?トマトなんて全然苦手じゃないし、むしろ好きだし!』
図星ゆえにそれを悟られぬよう月島の言葉に被せて言ってみると、なんとも嫌味ったらしい顔でこちらを見ていた。
なんだその顔、ムカつくぞ。
そんな月島といえば、何故か私の隣で朝食を食べていて、見せびらかすようにサラダに入ったプチトマトをパクリと口に入れていた。
こいつはきっと知っているんだ。私がプチトマトの事が大嫌いなのだということを…
嫌だ嫌だ!同い年にはなめられたくない!!
私が理想とするのは頼られるお姉さん!!
さあ食べるのよ、花宮A!!
根性見せろ!!
と、自分に気合を入れ、
透明なガラスの皿に入った3つのトマトを、嫌々一気に口の中に入れた。
う"っ
この柔らかい果肉を噛んだ時に口に広がる食感…
何度体験しても気持ち悪いっ
もう耐えられないとばかりにそばにくんであった水を一気にトマトごと飲み干し、食ってやったぞというように隣の月島を見る。
こ、こいつ!!見ていないだと!?
あんなに頑張ったのに!?勇気振り絞ったのに!?
私は何のために…
落ち込む私をよそに月島はトーストをかじりながら遠くの方ををぼーっと眺めていた。
糞野郎っ!
絶対わざとじゃん!!
『あぁぁぁ、澤村ぜんばい"ぃ、つきしまくんがいじめてぐるっ』
悲しみと悔しさのあまり泣きの演技で澤村先輩にすがると、思惑どおり月島は怒られていた。
ざまぁみろ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
補足
・同い年には、なめられないように大人っぽく、年上には甘え上手に生きよう。
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ゆか(プロフ) - そこで終わりですかあああああああああああ!?続き気になります!!!!更新まってますううう!!! (2020年5月10日 14時) (レス) id: 75e2a494df (このIDを非表示/違反報告)
エマ - とっても、面白いです!!更新、楽しみにしてます。頑張ってくださいね。^^ (2020年2月10日 22時) (レス) id: b5a08e9156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水面雫 | 作成日時:2019年9月26日 19時