苦手 ページ46
「君確かYouTuberの…」
「あ、Fischer'sのモトキです」
「……そっか、だからたかつき先生は見せてくれなかったのか」
「え?」
見せてくれなかった?何の事だろう。どうも思ってる事が顔に出てたらしい。三宅さんは少し躊躇ったようだったけど話してくれた。
Aさんが俺の事をどう話していたのかを。
「3…いや、4回目くらいだったかな。たかつき先生に4回目会った時、今までと違って何か凄い嬉しそうで、楽しそうで…幸せそうに笑ってたんだ」
「……はい」
「だから何かいい事があったんですか?って聞いたんだよ。そしたら“恋人ができたんです”って、はにかみながら言ってた」
何となく、想像できる。Aさんがどんな顔をして言ったのか。
だって俺は約1年ずっとAさんを見てきたから。
「初めてなんだと言ってたよ」
「初めて?」
「誰かとお付き合いするの」
「あぁ……」
「それと異性の友達もできたって嬉しそうだった。モトキ君の仲間の事を年下だけど大事な友達なんだって」
「……」
「“凄い慕ってくれてるんです”って……言ってて、たかつき先生。俺あんな嬉しそうに笑うたかつき先生初めて見たから、いい人達なんだろうなって思ってた」
シルク達を友達、って思ってたんだ。あいつらが知ったら喜びそうだな。俺もAさんがシルク達の事を友達だと思っていて凄い嬉しい。だって俺の大切は仲間であり友達だから。
「それで…たかつき先生があまりにも嬉しそうに君の事を話すから、写真とかないのか聞いてみたんだよ」
「はい」
「そしたら“あるにはあるけど見せません”って言われちゃってさ」
「え?」
「今思えば……あれは君を守るための言葉だったんだろうね」
あぁ、分かってしまった。Aさんがそう言った理由が。
「君は有名人だから……もし俺が他言したら、とか考えたんだろうね、たかつき先生は。あの時知ったとしても誰にも言うつもりはなかったけど」
「っ…」
「たかつき先生は俺の知り合いの中で断トツで優しい人だよ。あんな優しい人は中々いないと思う」
「Aさんは、優しいから…」
「うん?」
「……俺と…別れたんです」
「……うん、知ってる。たかつき先生の担当の人に聞いたよ」
全部知ってる、と三宅さんは言った。そして俺を見て、少し泣きそうな顔をしてる。
「優しすぎるのも辛いよね」
「……そう、ですね」
Aさんの優しい所は大好きだけど、でもほんの少しだけ苦手だ。
139人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
4本の薔薇 〜another story〜【Fischer’s】
4本の薔薇 〜another story〜 II【Fischer’s】
もっと見る
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……グスッ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…!! (2020年3月22日 21時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました! (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´;ω;`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瀧 | 作成日時:2019年8月9日 0時