また君の隣にいたい【Fischer’s】

末期 ページ18

「あぁ〜……Aさんに会いたい……」
「それ聞くの軽く10回は超えたよ」
「だってさぁ！Aさんに会えてないんだよ！」
「分かった分かった。会えなくて寂しいよね、分かるよ」
「何かいつにも増してAさん不足凄いね」
「口開けばAさんの名前出すのそろそろやめろよ」



ザカオに慰められ、ぺけたんに呆れられ、シルクに怒られた。でもそんなんじゃ寂しさは消えないよ。


あ、とぺけたんが手を打った。いい事思い付いたって顔で俺を見る。



「Aさんの写真見ればいいじゃん！」
「それはもうやった」
「え」
「でも写真じゃダメなんだよ！実際に会わないとダメなの！」
「めんどくせぇなお前……」
「……何かごめん」
「ぺけが謝る事じゃないでしょ」
「もうここまでくると末期だな」



毎日写真は見てるよ。数少ないけど。でもやっぱり本物じゃなきゃ会えた気がしない。あぁ〜、Aさんに会いたい、抱き締めたい。


何にもやる気が起きなくてテーブルに突っ伏した。Aさんに会える26日まで……うわ、10日もある。俺10日後まで生きてるかな……。



「うぉ、モトキどうした？」
「もっきゅん大丈夫？」
「Aさんに会えなくて死んでる」
「あー」
「なるほど」



マサイとンダホの声がした。ちょっと顔を上げると心配そうな顔の2人。優しいよな。言っちゃえばAさんに会えてないだけでこんな風になってるのに。普通呆れるか引くかどっちかだと思う。



「最早Aさんに会えなきゃ死んでしまう病だよな」
「それだ」
「でもあと10日すれば会えるんでしょ？」
「は？10日もあるんだけど！？」
「逆ギレすんなよ」
「頑張れよモトキ。Aさんに会うまで死ぬ訳にはいかねぇだろ」
「死んだらそれこそAさんに会えないしね」
「よっしゃ俺生きる」
「単純すぎだろ！」



ツッコミの後笑うシルクに釣られて皆笑う。俺も笑った。そうだよな、今死んだらAさんに会えないもんな。うん、あと10日頑張ろう。


Aさんも、俺に会いたいって思ってくれてるといいな。

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