鼓舞 ページ48
「もう大丈夫?」
「はい、ありがとうございました」
「気にしないで。俺が君の事勝手に気にしてただけだから」
なんていい人なんだ三宅さん。それとイケメン。心までイケメンだとは…流石ジャニーズ。
俺の背中をバシバシ叩いて三宅さんは笑う。その笑顔に釣られて俺も笑った。
「笑ってなよ。たかつき先生、君の笑った顔が大好きなんだって言ってたから」
「そうなんですか。俺もAさんの笑った顔大好きなんです」
「相思相愛だね!いやぁ、若いっていいなぁ」
Aさん、俺の笑った顔好きだったんだ?嬉しい。だから俺が笑ってるとニコニコしてたのかも。
「あ、三宅さん、一つ聞きたい事があるんですけど…」
「何?」
「きなこ…Aさんの聴導犬って無事なんですかね。俺Aさんの事で精一杯できなこの事頭から抜けてて……」
「あぁ、きなこは無傷だよ。俺さっきまできなこといたけど、会う?」
「会います!」
きなこは無事だったんだ。よかった。ご主人と会えるの最後だったからきなこもお別れをしに来たのかな。きなこ、Aさんの事大好きだったもんね。
三宅さんに連れられてきなこに会いに行った。日本聴導犬協会の人と一緒にいた。少し挨拶をしてからきなこの前にしゃがんで目線を合わせる。元気がなさそうなのはAさんがもういない事を理解しているのかなのか分からないけど、慰めるようにきなこの頭を撫でた。
「お前は最後までAさんの側にいたんだね。ありがとう」
きなこがAさんの側にいてくれて本当によかった。そんな気持ちを込めて俺はきなこの頭を撫で回す。
大人しく受け入れてくれたきなこの尻尾は左右に揺れていた。
「俺が撫でた時はそんな嬉しそうに尻尾振らなかったよね?」
三宅さんが少し拗ねたように言えば協会の女性は笑って言った。
「ふふ、きなこは高千穂さんの次に長くいた貴方の事も大好きなんでしょうね」
「……そうだと、嬉しいです」
そうなの?きなこ。そう聞けば鳴いてはくれなかったけど尻尾の動きが止まる事はなかった。
きなこと戯れてると中々帰ってこない俺を心配したらしいメンバーがやってきた。芸能人である三宅さんがいる事に驚きつつもすぐに仲良くなったシルクは凄いと思う。
今メンバー皆笑ってる。皆が笑ってくれてる事にほっと息を吐いた。
Aさん、俺ね、メンバーの存在と三宅さんの言葉のおかげで貴女がいない世界でも何とかやっていけそうだよ。
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Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……グスッ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…!! (2020年3月22日 21時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました! (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´;ω;`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀧 | 作成日時:2019年8月9日 0時