接吻 ページ25
「……かーわい」
Aさんはどんな顔をしても可愛い。そりゃ笑ってる顔が一番可愛いけど、こうやって困ってる顔も可愛い。
親指を動かしてAさんの唇に触れた。ふにふにしてて想像以上に柔らかい。Aさんはビクリと肩を震わせた。困った顔から一転、眉を下げて泣き出しそうな顔をしてる。多分羞恥から涙を浮かべてるんだと思う。
本当ウブだよなぁ。でもそんな所も好き。男に慣れていないなら俺が教えてあげる。俺が色んなAさんの“初めて”の男になりたい。
そんな思いがあったから。気が付いたら俺は顔を近付けてその柔らかい唇に己のそれを重ね合わせていた。触れたのは1秒にも満たなかったけど、最初はそれでいい。
唇を離すとこれでもかと顔を真っ赤に染めたAさんが目と鼻の先にいた。ワナワナと唇を震わせて、遂には溜められる容量を超えたのか大きな目から一粒の涙が零れ落ちた。や、やってしまった。
「ごめん、ごめんねAさん」
俺が我慢できてれば泣かす事もなかった。Aさんを泣かさないと誓った筈なのにまさか自分がAさんを泣かす事になるなんて……いや、そんな言い訳はもういい。とりあえずAさんを泣き止ませなければ。
最初に零れ落ちた涙を皮切りに、次から次へとAさんの両目から涙が溢れてくる。指で拭っても止まる事はない。どうしよう……あ、そうだ、抱き締め……たら更に酷くなりそうだから却下だ。どうすれば泣き止んでくれるんだろう。
頭を巡らせる。けどいい方法が思い付かなくて俺はさっきからごめんと謝る事と涙を指で拭う事しかできていない。
するとAさんが自分の鞄に手を伸ばした。もしかして帰ってしまうのかと危惧しているといつもの筆談用のスケッチブックを取り出しただけだったっぽい。鼻を啜りながらAさんはペンを走らせる。
《ごめんね。初めてだったから、恥ずかしいのとびっくりしたのが混ざって……》
やっぱり恥ずかしさから出た涙だったらしい。涙も大分落ち着いてきたから、俺もスケッチブックを借りて文を書く。
《俺の方こそごめんね。急にキスしちゃって。Aさんが可愛かったから》
《可愛くないよ》
《世界で一番可愛いよ？》
ほら、それはないって意味で首を横に振ってるんだろうけど、実は嬉しいって顔してるAさんが可愛くない訳がない。どうして俺の彼女はこんなに可愛いんだろう。だからちょっと意地悪したくなっちゃうんだよ。
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瀧(プロフ) - wwwさん» 作者もです笑 作者の願望が詰まった作品になっております笑笑 (2019年7月18日 22時) (
レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
www - ああ、こんな恋したい (2019年7月17日 18時) (レス) id: 423bf3fc22 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ひなさん» そう言っていただけて嬉しいです！頑張ります(≧∀≦) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» ありがとうございます(*ﾟ▽ﾟ*) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - この小説好きです。投稿頑張ってください！ (2019年7月4日 0時) (レス) id: 0d818dd5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2019年7月1日 0時
