桃色 ページ18
Aさんは俺の一歩程後ろを歩く。もうちらほら人が通る通りだから、これはAさんなりの配慮だ。
分かってはいるのに、それでも寂しい。だから俺は数歩進む度に後ろを振り返ってAさんがいるか確かめる。何度も何度も振り返る俺にAさんは苦笑いをして歩きながらスケッチブックに素早く書き込んだ。歩きながら書いたせいかAさんの綺麗な字が少し歪んでる。
《ちゃんと前向いて歩かないと危ないよ》
《Aさんが隣歩いてくれたら後ろ振り向かないんだけどなぁ》
そう返してもAさんは首を横に振るだけ。ちぇ、効かなかったか。
前を向いてしゅんとしてると袖を引っ張られる感触。後ろを向くとAさんが俺にスケッチブックを向けていた。
《これからどこに行くの?》
《すぐ近くにある雑貨屋さんだよ》
そこも事前に聴導犬が入っても大丈夫かって聞いた。店長さんが快く受け入れてくれたお店。Aさんに何か買ってあげたいなーって思って選んだ雑貨屋さん。
正直俺はAさんの好みがまだ分かっていない。だから一緒にお店に入ってAさんがどういう商品を手に取るのか、Aさんの好みの物を知りたくてこの手段を取った。公園で会ってた時は同じ事しかしてこなかったから、こういうのもいいよね。
カフェから歩いて5分。広めの雑貨屋さんに着いた。実際にお店の中に入ってみて、結構通路が広いからきなこも安心して通れる筈。お店に入った時、Aさんを盗み見ると目をキラキラと輝かせていた。
こういう場所好きなのかな。だったらよかった。今度は俺が先を歩くAさんの後を追いかける。
Aさんが手に取る商品を見てると全部ピンク色の物。もしかしてピンクが好きなのかな。Aさんの背中をツンツン突いて聞いた。
[ピンクが好きなの?]
照れたように笑って頷いたAさんに俺は口元が勝手に緩んだ。だってピンクって俺のメンバーカラーだもん。偶々だけどさ、嬉しいじゃん。
それからもAさんが手に取る物とか見る物で大体Aさんの好みが分かってきた。あ、これとかAさん好きそう。Aさんが手に取ってた物の系統のネックレスを発見。しかも色はピンク。
Aさんにこれは好き?と聞くと凄い好き!と返ってきた。よし、これは買うしかない。レジにいた前会った店長さんにそのネックレスを持って行った。
「すいません、これラッピングしてほしいんですけどいいですか?」
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瀧(プロフ) - wwwさん» 作者もです笑 作者の願望が詰まった作品になっております笑笑 (2019年7月18日 22時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
www - ああ、こんな恋したい (2019年7月17日 18時) (レス) id: 423bf3fc22 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - ひなさん» そう言っていただけて嬉しいです!頑張ります(≧∀≦) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
瀧(プロフ) - wwwさん» ありがとうございます(*゚▽゚*) (2019年7月4日 14時) (レス) id: 5c3fcd6700 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - この小説好きです。投稿頑張ってください! (2019年7月4日 0時) (レス) id: 0d818dd5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀧 | 作成日時:2019年7月1日 0時