6話 ページ6
夜も大分深まった。
家の電気は消えて、街も眠りについている。
そんな中、彼___花垣武道は、消えかかった街頭だけを頼りに走っていた。
向かう先は、宮内Aの家。
自転車に乗った方が速いし楽だ、と気づいたのは、
家を出て7分ほど経ってからだった。
これなら戻って自転車に乗るよりも、もう走っていった方が速い。
段々と息が続かなくなってきたが、そんなことで止まってはいけない気がした。
一つの曲がり角が見える。
あの角を曲がれば、彼女の家はすぐなはずだ。
スピードが落ちていた足が速度を増して動き出す。
角を曲がり、足を止めた。
息が上手く吸えず、何度か咳をした。
「_____あれ?」
先ほど見たはずの彼女の家が見つからない。
あのごく普通な、でも小綺麗な___玄関先に植木鉢があったような。
しかしその家が、何処を探しても無いのだ。
いや、そんなはずはない。
さっき見たはずのあの家があった所には、
朽ち果てた古い民家が建っていた。
伸びた蔦が家中を包み、いかにも廃墟、といった様子だった。
「来ると思ってた」
「うわっ!」
動揺している中後ろから声を掛けられ、必要以上に驚いてしまった。
慌てて振り返ると、そこには宮内Aが立っていた。
「ごめん、驚かせちゃった」
「っ、いや、大丈夫です」
彼女は眉を下げて笑う。
「…どっか行くんですか?」
「あー…うん、まぁね。ちょっと遠出」
遠出?こんな時間に?
頭には疑問符が沢山浮かんでいる。
「俺も、一緒に行ってもいいですか」
「………うん、いいよ。君、私に用があるんでしょ?」
「……はい」
「じゃ、行こうか」
彼女は歩き出す。
武道もそれに続く。
未知の世界の暗闇に、踏み込んだような気分だった。
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皆見恋(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます! (2022年4月17日 22時) (レス) id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
舞 - めっちゃ雰囲気好きです…!これからも応援してます! (2022年4月16日 23時) (レス) @page3 id: 81f78f6edb (このIDを非表示/違反報告)
皆見恋(プロフ) - 小夜さん» はい!頑張ります‥‥ (2022年4月16日 21時) (レス) @page3 id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 好きです これからもガンバ。 (2022年4月16日 15時) (レス) @page2 id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年4月15日 21時