4話 ページ4
「あれ、タケミっちじゃん」
道の向こうから、見慣れた顔が歩いてくる。
___佐野万次郎…いや、マイキー君だ。
「奇遇じゃん、何してんの、こんな時間に」
いや実は、と先ほどまでの出来事を全て話してしまいそうになって口を噤む。
ダメだ、彼女に誰にも言うなと念を押されたんだった。
「あは…ちょっと暇で、」
「ふーん……何それ、缶コーヒー?」
捨てる場所が見当たらずに仕方なく手に持っていたのを思い出す。
これも先刻宮内Aが取引と称して差し出したものだ。
夏なのにも関わらずホットのコーヒー。
我ながら良く違和感なく飲めたなぁと思う。
その空き缶はまだほんのりと熱を帯びていた。
「タケミっちって、コーヒー飲むんだ…なんか意外」
「いや、普段は飲まないですけど……」
貰ったんです、と思わず言ってしまった。
「へー、誰に?」
「え!?あぁ、いや…知り合いに…」
「夏にホットのコーヒーとか、嫌がらせ?」
こんなクソ暑いのにさ、とマイキー君は続ける。
____そうだ、そうだよな?
普通こんな真夏の熱帯夜にホットのコーヒー渡されても、飲み干せる気がしないのだ。
まぁ、好んで飲む人もいるにはいるだろうが…初対面相手に、わざわざホットを選ぶか?
若干の違和感を覚えた。
いや、でも俺は何とも思わずに熱いコーヒーを喉に流し込んだし、彼女だって何も言わず飲んでいた。
______そういえば。
彼女…宮内Aの、服装。
いかにもよくある学校のセーラー服、なのだが…それはどう見ても冬服だった。
着こんでいる、という印象は無かったが、確かに違和感がある。
口元に手を当てる。
今までの小さな違和感が、徐々に徐々に大きなものになっていく。
……彼女の隣で話している間、俺は全く…
まるで彼女が冷気を纏っているかのように。
その時は何故だか気にも留めなかったのだが……少なくとも、ホットコーヒーを一気飲みできる程度には涼しくなっていたのだ。
これはおかしい。どう考えても、だ。
疑問は膨らむ。
目の前にいたマイキー君は、ただ気の抜けた表情を俺に向けているだけだった。
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皆見恋(プロフ) - 舞さん» ありがとうございます! (2022年4月17日 22時) (レス) id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
舞 - めっちゃ雰囲気好きです…!これからも応援してます! (2022年4月16日 23時) (レス) @page3 id: 81f78f6edb (このIDを非表示/違反報告)
皆見恋(プロフ) - 小夜さん» はい!頑張ります‥‥ (2022年4月16日 21時) (レス) @page3 id: 62ed21cecb (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 好きです これからもガンバ。 (2022年4月16日 15時) (レス) @page2 id: 0b993ff198 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年4月15日 21時