優しい彼の裏の顔【竈門炭治郎】【鬼滅の刃】

22話 ページ23

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「なっ…んで！？
確かにスタンガンで気絶したはずだろ！？」





後ろから、覚束無い足取りで竈門くんはフラフラと寄ってくる。
その手にはギラギラと光る物が握られている。

…善逸が、危ない。
善逸が、あの刃物で、傷付けられてしまう。

どうしよう、どうしようと考えている間にも、
竈門くんはゆっくりと近付いてくる。





「…余計な虫は駆除しないといけないんだ」





にぃ、と歯を出して不気味に笑うと、
その刃物を善逸目掛けて振りかざした。




『ｯｯ…！！！！逃げて、善逸っ』





私は善逸の手を振り払って、背中をドンッと押す。

咄嗟に善逸を押し退けたから、傷もない。
シュ、と刃物の空ぶった音がすぐ側で聞こえる。


ハッとしたような顔をして、善逸は振り返った。





『…ばいばい、善逸』


「いやだ、待って…！！！」





もうこれ以上、傷つきたくない。
目の前で大切な人を失いたくない。

…ねえだからお願い、走ってここから逃げて？





『ねえ、善逸…

少しの間だったけど、幸せな時間をありがとう』


「ｯｯ…！！！」





一向に動こうとしない善逸の手を掴んで、
玄関から出す。

にこりと私は微笑んで、扉を乱暴に閉じる。


…ねえ善逸、私ちゃんと笑えてた？





「ふふ、いい子だ…A」









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