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『お前変われ』
次の停車先であなたは加藤をどけ、私を呼んだ。
狭い車内。それもトランク。
いやでもくっつく身体。
『あいつと違ってスペースできたわ〜』
「そんな変わんないでしょ(笑)」
『いやーーあれはどうみても太ってるだろ』
加藤に聞こえるように言うもんだから、なんて加藤に言われるか怖かった。だけど加藤は何も触れてこなかった。
深夜の1時。
どうやら今からボーリングに行くらしい。
あとどんくらいかかるんだろ。
色々、気まづい。
なんて考えてたらあなたが私の手を握ってきた。
誰にも見えないようにこそこそと繋いできた。
「え」
あなたは何事もないように違う方を向いていた。
もちろんトランクだし、そもそも覗かない限り見えないけど、
もしかしたら見られるんじゃないかって怖かった。
でも嫌じゃなかった。
あれ、私ってこんなに簡単な女だっけ。
いいのかこんなんで。流されてしまって。
ボーリング場に着くまで、その手が離れることはなかった。
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作者名:茉音美。 | 作成日時:2022年7月12日 21時