治くんは、おさまらん。 (ページ14)

今日:35 hit、昨日:123 hit、合計:674,728 hit

治くんは、意地張りがおさまらん。ページ14

・

“治くんが風邪をひいた”

そんな衝撃的な話を朝、私は侑くんの口から聞いた。

アホは風邪ひかんって嘘やねんな()

そう思いつつ私はふと空っぽの隣の席に目をやった。

今日は静かになるなぁとか、

少し、少しだけ.......

・

「寂しいなぁ、とか？」

『.......うっ、否定はせんけど』

「へぇー、否定しないんだー、
だったらさ、お見舞い行けば？」

『.......迷惑やない？』

「それは絶対ない」

『...うーん』

・

最近、角名くんからのいじり(？)が凄い気がする。

まぁ、それは置いといて、

私は悩んだ結果、侑くんにも相談し、

お見舞いに行くことにした。

・

侑くんと共に、スーパーに寄り、

見舞いの準備を完璧にして、宮家へ着いた。

その後、ベタだがお粥を作り、

ｺﾝｺﾝと部屋をノックをすると、

中から弱々しく“なんやねんツム”という声が返って来た。

.......侑くんと勘違いしとるみたいやけど、

入っちゃっていっか。

・

『.......治くん、具合は大丈夫？

一応お粥作ってんけど食べれそう？』

「.......全然大丈夫ちゃうわ。

お粥のええ匂いするし、
それどころかAの幻覚さえ見えるねんけど.......」

『.......大丈夫や。お粥も私も幻覚やない。』

「.......うぇ！？ほ、本物！？」

『本物やけど？』

・

“本物や”と言うと、

治くんは急に黙り出した。

そして少し体を起こし、

真剣な表情でこっちを見て言った。

・

「A、今日は帰ってくれへん？」

『あ、ごめん、やっぱり迷惑やった.......？』

「いや、全然迷惑とかやなくて。
移したらあかんし.......」

「いや、こんなカッコ悪いとこ、
Aに見せたくないだけやろ？」

「はぁ！？ツムは余計なこと言うなや！」

・

と、侑くんが入ってきた途端、兄弟喧嘩が始まった。

治くんの様子はいつもより弱々しくて、

私の世話焼きの性が帰ることを許さんかった。

......まずは喧嘩止めなな。

・

『二人とも静かにせぇ！！！』

「「うっす」」

『治くん、私決めたで。私は帰らへん。』

「.......いや、それはあかん！！」

『私納得いかんから、帰らへん。』

「俺やって納得いかんから、帰ってもらう！」

・

そこからしばらくお互い意地の張り合いが続いた。

自分で言うのもあれやけど、
いつも私に対しては結構素直やのに、

なんでこういう時だけは意地張るんかなぁ？

治くんは意地張りがおさまらん＿＿＿

・