治くんは、おさまらん。

治くんも、幸せがおさまらん。 ページ48

・



「『まいどー』」


「およっ
君なんやっけ！烏野の！嫌なジャンフロの！」


『こら治くん、嫌やなんて、
そないな言い方失礼やで。

君、めっちゃ強いジャンフロの子やんね？
確か.......そう、山口くんや！』


「(宮兄弟と、その彼女の美人マネさんに覚えられてた！)はい、山口です。」


「そっか、仙台やもんな、地元やもんな。」


『さ、試合始まってまうからはよ行き。

おにぎり宮、仙台にできた時はどうぞご贔屓に！』


・


あれから何年かの月日がたち＿＿＿＿


私は、経営学を学ぶため関西では偏差値がかなり高い方の短大へ。

治くんは、必要な免許を取るために2年制の調理師専門学校へ。


そして、それぞれの学校を2年で卒業した後、2人で《おにぎり宮》を開業したのだ。

その頃にはしっかり籍も入れていて、
2人とも苗字が《宮》やったから、万丈一致で店の名前は《おにぎり宮》になった。


そして、今日は.......

烏野のオレンジくんこと、日向くんがブラジルから帰ってきて初めての公式試合らしく、
私達は「これは行かな」と、二人で話した結果、仙台に臨時で出店することになった。

ちなみに日向くんの情報は、帰ってきた日向くんと同じチームの侑くんからのものである。

ちなみに日向くんや侑くんが属するチーム、ブラックジャッカルの相手は、

烏野のセッター君こと影山君がいるチーム。


やから、烏野の皆さん含めその他関係者をよう見かける。さっきの山口くんもそのうちの一人。

.......今日の試合はほんま楽しみやねぇ。


・


「『...！フッフ』」


・


侑くんが日向くんと決めて見せた変人速攻。

侑くんは「どや、こんな怪物を従えてる俺の方が幸せや」と言わんばかりの様子でこちらを見てくる。

その様子に私達は声を揃えて笑った。

少し、負けてられんなぁとも思うけど、
でもやっぱり.......


・



「Aがおるし。」

『治くんがおるし。』


「『私らの方が幸せやな。』」



・



私たちは再び重なった声に、顔を見合わせて笑った。


うん、やっぱこの笑顔が隣にあるだけで、世界一幸せやって思えるんは、

大袈裟なんかやなくて、ほんまの事や。


あ、そうしてるうちにまたお客さん来たみたいやな。



・


「『いらっしゃいませ』」


・



「せーの」だなんてそんな掛け声がなくとも、自然と2人の声は重なる事でも感じる幸せ。


そんな一つ一つの幸せで、

私の毎日は溢れている。



治くんも、幸せがおさまらん＿＿＿



・

治くんは、おさまらん。→←治くんも、塩っぱさがおさまらん。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す