立派な脳みその使い方。 ページ9
「八百万…助けてくれ」
「エッ！？」
Aは追い込まれていた。ある一つの教科によって。
ほぼ一夜漬けで迎えたテストだったが、一日目は何とかなった。
というか正直、ホークスの発言でテストを思い出した時に一瞬ヒヤリとはしたものの、良く考えれば要領も地頭も良いAにとって、筆記テストなど特別恐れるものではなかったのだ。
何せAの脳みそは生まれた時から優秀なのだ。その何よりもの証拠はAの脳が、かつて術式によって増やされた莫大な数の彼女自身の記憶を全て完璧に保管している事。そしてそこに前世の知識が加わっている。周囲とAとで、その地頭・要領の良さに圧倒的差が出るのも無理はない。
ただ、Aを困らせていたのは前世になかった個性・ヒーロー絡みの歴史だ。
そう、Aにとって大の苦手教科は世界史だった。日本史と違い前世でもほぼ未習の世界史。なのにそこに個性やらヒーローやらの全く知識も興味もない要素が加わるのだ。その勉強は地獄だった。
と、ここで冒頭に至る。
一日目の試験が終わり、翌日に大問題の世界史を控えている今、頼れるものは頼るしかない。Aは普段態度には出さないものの、八百万の秀才さに一目置いていたのだ。
一方の八百万は、A組内でもズバ抜けて優秀で、優秀故に日頃誰にも頼らないAから頼られたことを喜び、二つ返事でAからのヘルプを受け入れた。
その数時間後、Aは八百万のおかげで何とかテスト範囲を網羅できた。
「本当に助かった。何かお礼しないとね」
「……では、教えて下さいませんか？どうすれば貴方みたいに強くなれるのか」
常闇と言い、その質問流行ってんの？とAは聞きたくなったが、辞めておく。そして少し考えてから答える。
「私のチカラは基本的には倍率を操る術式だ。だから“１”を倍増・倍減させたり、マァ頑張れば×０して“１”を無くしたりは出来る。けど、“０”から“１”を作るのはどう頑張っても無理だ」
「…！！」
「でも───八百万にはそれが出来るだろ？つまり、だ。お前にはお前の個性の使い方がある。それを考えるのがその立派な脳みその役割でしょ」
Aからの返答は正直、期待してたよりも具体的ではなかった。
けれど八百万は、秘密主義なAがその力の詳細を明かし、無愛想な物言いながらも自分の助けになろうと寄り添ってくれたことが、何よりも嬉しかったのだ。
「本当にありがとうございます！テスト、頑張りましょう！」
風邪と一時しのぎのヒーローと赤点。→←社畜仲間ホークスさん。
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ハノン(プロフ) - 八百万さんの優しさがしみました、、、😭更新ありがとうございます。 (4月6日 15時) (
レス) @page15 id: b1aa25fb33 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！前編から読ませていただいておりました！これからも楽しく読ませていただきます！ (7月12日 20時) (レス) @page6 id: f500b808b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おかかのおにぎり
| 作成日時：2023年7月12日 20時
